■トリトンのおはなし■

1話〜5話

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第1話   海が呼ぶ少年

黒潮洗う日本の一漁村。そこでは海人の子と言われながらも元気に暮らすトリトンという緑の髪の少年がいた。しかしトリトンが13歳になったある日、白いイルカのルカーがやってきて、彼に「トリトン族の生き残りだ」と告げる。信じられないトリトンだったが、育ててくれた一平爺さんの家からトリトン族の衣装と光り輝く短剣が見つかり、動かぬ証拠となる。    自分の出生の秘密を知ったトリトンはその事実もさることながら、ずっと隠し続けていた一平爺さんにもショックを受けていた。だがそんな感傷にひたる間もなく、トリトン族の敵であるポセイドン族の怪獣サラマンドラが村を襲い、トリトンはやむを得ず海に出る。満月の夜だった。

第2話  トリトンの秘密

 とにかく海に出たトリトンだが、自分はまだ陸の人間だという意識が抜けない。ルカーもトリトンが「海人」としてやっていけるかどうか、不安になる。
 トリトンは両親の形見を預かっているという大海亀のメドンに会いに行く。途中、イルカ島から迎えに来たというイルカ3兄弟イル・カル・フィンと出会う。イルカたちは陸育ちのトリトンをからかい、トリトンとイルカたちは仲違いする。
  メドンに会うには危険な七つの渦を越えて行かねばならない。トリトンとルカーは果敢にも激しい渦の中に飛び込んでいく。
 メドンは文字通り大きな海亀で小島ほどもあった。トリトンが形見の法螺貝を耳に当てると両親のメッセージが聞こえてきた。それは「トリトン族のため、海の平和のために戦え」という抽象的なもので、トリトン族やその敵のポセイドン族の正体については何も言及していなかった。不満を覚えたトリトンは、法螺貝を投げつけ、村に戻ると言い出す。しかし、渦を越えたところで、ポセイドン族の海獣シトルモビック(大きなエイ)が襲ってきて、ルカーたちがやられそうになる。そこへ剣をぬき、闇雲に飛び出したトリトンだったが、渦に誘い込むことを思いつき、見事にシトルモビックをやっつけてしまう。
 だが、そんな「業績」を果たしたあとでもトリトンは思い悩むのだった。
 自分は海へ残るべきか、陸に戻るべきか。
 そして、トリトン族とは、自分とはいったい何者なのか。何故戦うのか。
 トリトンは形見の法螺貝を海に向かって吹き鳴らす。

第3話  輝くオリハルコン

 トリトンはすべての疑問は大西洋に行けば解決すると思い、一人で筏を組み、フィンと共に勝手に海に出てしまう。
 しかし、トリトンは途中で嵐にあい、筏を壊され、ポセイドン族のひとり、ドリテアのすみかの「海の墓場」に連れ去られる。そこは文字どおり、不気味なところで、いたるところに石にされた生き物が転がっていた。
 ドリテアはトリトンを石にしようとムチを繰り出すが、トリトンの持つオリハルコンの剣にムチを溶かされてしまう。ひるむドリテア。トリトンはこれでポセイドンもやっつけられると得意になるが、助けにきたメドンがいさめる。今のトリトンに大西洋のポセイドンと戦う力はない、と。納得できず、怒るトリトン。しかし、ドリテアの手下の銀ザメの攻撃に苦戦するメドンの姿に愕然となるトリトンだった。
 ドリテアはメドンを海底火山の火口に誘い込み、火山を爆発させ、メドンを死なせてしまう。
 メドンの死に大きなショックを受けたトリトンは村にもどるといいはり、一度は上陸する。
 だが、村の子どもたちに囲まれて、祭りに向かう一平の姿をみて、なぜか飛び込めず、ただ泣くばかりのトリトンだった。陸にも戻れない。トリトン(族)にもなれない。
 迷ったトリトンはもう一度、崩れた岬からとびこむ。
そこには、ルカーたちが待っていた。ルカーは北の海に仲間がいるかもしれないという。
 一筋の希望を胸に、北に旅立つトリトンとルカーだった。

第4話 北海の果てに

 トリトンは仲間がいると聞いて北の海にやってくる。そこで怪獣デモラーに襲われていたアザラシの子どもたちを助ける。そして人魚のピピに出会い、プロテウスのことを尋ねようとしたら、いきなり海に突き落とされる。後で彼女がトリトン族だと聞いておどろく。人魚と仲間だなんて!
 ピピを育てたアザラシの長老プロテウスはポセイドンの一味ミノータスに見つかる危険がせまっているので、ピピを連れて南に逃げて欲しいと懇願する。だが、出会いの印象の悪さもあって、気の進まないトリトンだった。そんなトリトンにプロテウスはいつかきっとピピが役立つ時がくる、と説得するのだった。
 しかし、またもや怪獣デモラーが現れ、アザラシやピピが襲われる。トリトンは機転をきかせ、氷の下に誘いこみ、オリハルコンの剣で氷を切って、デモラーを押しつぶした。だが、その時に流れる大量のデモラーの血に驚いて逃げ出してしまう。
 恐怖におびえるトリトンにピピはかっこ悪いと冷たく言い放ち、トリトンもまたピピを嫌い、二人の中は最悪だった

第5話  さらば北の海

 北の海では、短い夏を惜しむように花祭りが開かれていた。その花祭りの王様にトリトンが選ばれ、アザラシたちに氷の椅子にすわれされる。トリトンは有頂天になっていた。ピピはそんなトリトンがおもしろくない。プロテウスもいい気になってるトリトンを憂い、ピピを預かった時を回想し、ポセイドンの魔の手が迫っていることをルカーに伝え、二人を北の海から脱出させてほしいと頼む。
 ピピは蜃気楼の島にトリトンを誘い出し、それがミノータスの隠れ家だとだます。怪しく見え隠れする島にトリトンは本気で敵の隠れ家だと信じてしまう。あとで、トリトンはだまされたとしってカンカンに怒る。
 そんなおり、ピピがミノータスの手下にさらわれる。だが、トリトンは意地をはって助けにいこうとしない。やむを得ず、プロテウスやアザラシの子どもたちが出かけるのをみて、ようやくミノータスの隠れ家にむかう。
 ピピは氷の迷路の奥深く閉じこめられていた。ユニコーンたちの攻撃をかわし、助けにきたトリトンに、文句を言うピピだった。だがそこにミノータスが現れる。だがトリトンのオリハルコンの輝きにすくんでしまった。その隙に二人は氷の迷路を脱出する。その途中、無惨なアザラシたちの死体があった。悲しむピピ。
  プロテウスは、ミノータスに氷りづけにされてしまう。そして、トリトンとピピは思いを残しながらも北の海を脱出する。

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