◆第9話の感想◆


ピピの出てこない外伝第2弾。
正確にはピピの活躍の場がないということ。かわいそうですが、今回は物語の導入と色づけのためにしか彼女の存在はありません。ピピには10話まで活躍は待ってもらいましょう。

 さて、この話はとても怖くて不気味だった印象があります。
トリトン達は南の暖かいイルカ島にいるはずなのに、この話だけ雰囲気が暗く、イギリスや北欧の寒くて冷たい海に漂っている難破船の雰囲気です。帆船というのも何ともクラシック。

 そして、冒頭、歌を聞いたとたんに文字通り目の色が青く変わり、船に向かって泳ぎ出すトリトンがチョー怖かった。こんな変なトリトンは初めてだったもの。どうなるのかとわくわく(?)しながら見てたことを覚えています。コワイものみたさというか・・・。
 そして、イルとカルをけっ飛ばしてしまうのもすごい。カンペキにトリトンがぶっ飛んでる!
ひゃあ、これは楽しみ(オイオイ)と思ったら、めげずにトリトンのマントを噛んで引きずるイル達もまたすごい。とうとう水の中に引き込んでさかっちょ(さかさま)にトリトンを引っ張っちゃうのに笑ったです。
 トリトンがまたすっとぼけて何にも覚えてないのもコワイ。

  そしてルカーの話も不気味。この船の話をきいてて、何故か「タイタニック号」のことを思い出した私でした。(現代のではなく、白黒であった「タイタニックの最後」とかいう映画。豪華客船と言えばその名前しかしらなかった。「ポセイドンアドベンチャー」はまだ公開されていなかったし)

 あと、船に乗り込んで船長室の横文字の日記を読むトリトンにちょっとビックリ。
その日記って多分古い英語でしょ。トリトンは語学の天才!とか思っちゃった。(たとえ、アニメ界のお約束とは思っていても・・・)
 まじめに、「この海から出ろという恐ろしい声が聞こえた・・・。」「私の愛するカミーラが戻ってきた・・・」とか読むトリトン(塩屋さん)はなかなか堂に入っていて好きでした。朗読すると上手さがよくわかりますね。もっと聞きたかったです。

それにもましてもっと不気味なのが、墓標の立った島!
島にも増してしわしわの老婆のまたコワイこと!!(うちの次女、この回をみて泣きそうでした。当時の幼い子どもにも不気味だったと思う)
 老婆がトリトンをみて「坊や」というのにちょっと違和感があった。トリトンは「坊や」なのか〜〜!
当時の自分はトリトンよりも年下でしたから、トリトンはお兄さんの印象があったのですが。
老婆から見ればトリトン少年なんて赤ちゃんみたいなモノだもん・・・。
坊や!のフレーズにはまいりました。

 「これはオレの十字架だ!こんな事をしてる奴を信じられるか!!」と言うトリトンはめっちゃかっこいい!でも、・・・。
 ここで、トリトンの名を刻んだ十字架、とストーリー紹介には書きましたが、実際の映像はその十字架が映されていません。気がつくと十字架を足でドンとふんで、老婆にすごむトリトンの姿になっていました。これって手抜き〜!
もし映すとなるとやはり「TRITON」とかいう英語名なのでしょうか。う〜ん。
ちょっと疑問の残るシーンです。

  でもトリトンもこんなにこわい印象のしわしわのおばあさんなのに、泣いてすがる姿に同情しちゃうのがすごい。チョー疑わしいのに。見え見えじゃんかあ。
 そういえばトリトンは22話でも自分を生け贄にして殺そうとした老婆に「ありがとう」なんて言ってる。(その後すぐ落っことされちゃうんだけど・・・バカ!)
 トリトンっておばあさんにヨワイのかなあ。

 そして、ラスト近く、船の上で吸血鬼カミーラに襲われそうになるトリトンのショットが何とも色っぽいのです。半分あきらめたような表情で・・・。ちょっと期待してしまいました。(何を??;;;)
この映像は記憶にのこりましたね〜。

 私はこの時オリハルコンの剣を抜いてカミーラの妖気を吹き飛ばしてしまうシーンにちょっとがっかりしたのです。おきまりのパターンのような気がしたし、もう少し危ない目に遭ってもよかったんじゃないかって・・・。それで、絶対最後は助かるんだけども。
 これはもうカンペキに病気ですね。「海のトリトン」のお話に危ないモノを求めてしまう自分の好みがはっきりわかった回でした。それにこの回では話が地味で、オリハルコンの剣を抜いて華々しく活躍するトリトンの場面が少なかったからかもしれません。とにかくカッコイイトリトンが見たい!私はだんだんとTVのストーリーに不満を覚えるようになっていたのでした。(生意気な奴)

ラストは船が炎上し、老婆が日記を読みながら泣いているのがちょっと気の毒だったけど・・・。トリトンが「花嫁だったカミーラと、吸血鬼だったカミーラか・・・」と説明してくれたのがすごく助かりました。その時まで私は老婆とカミーラのギャップが大きすぎて同一人物に思えなかったから・・・。(結局わかってなかったということですね)

 余談ながら、「吸血鬼カミーラ」という小説がありますが、あまりおもしろくありません。カミーラという女性とミーラカという女性がでてきますが、ややこしくて・・・。(実は中学の時に読んだきりなので、印象がはっきりしないのです。→よく理解できていない←ジュニア向けのモノを見つけましたので、また見てみます)

 この話はとても印象深くて、後で書店で同名の「幽霊船の謎」というジュニア向けの本を見つけて買いました。世界各地の幽霊船の話を集めた本で、有名なマリー・セレスト号、フライング・ダッチマン、セントエルモの火など、海の不気味な話がいっぱいでした。でも「海のトリトン」で表現された様なお話はなかったので、残念でした。とてもインパクトの強いお話だったと思います。

 一応、吸血鬼はでてきますが、どちらかというと、「オデュッセイア」で表現されていた、セイレーンのイメージに近い気がします。船がセイレーンのすんでいる島の近くを通りかかると、美しい歌声で船人を引き寄せ、近づいた人に餓死するまで歌を聞かせ続け、そしてその島の周りには白骨が累々ところがっているといいます。その歌の内容は「さあ、真実をきかせてあげよう」というものだそうで、好奇心や自己探求の強い人なら、ころりとだまれそうです。
 このセイレーンは、女の顔をした怪鳥だそうで、いわゆる人魚とはちがいます。

女性の吸血鬼というとカミーラという代名詞になったのは「血と薔薇」(ロジェ・バドム監督)という映画からでしょうか。白い服をきて髪が長い、というのも別の吸血鬼の映画にあったような気がします。(詳しい人、教えて下さい)
 とにかく「海のトリトン」の中では異色のゴシックホラーともいうべき、コワイコワイお話でした。

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