◆第8話の感想

これは私の好きな「ピピの出てこない」外伝の話、第一号です。

私が気にいっているのは、トリトンの本来の少年らしい感情が出てるところ。(そんな演出)
プッチャーにものすごく親近感を抱いているところです。
  このころのトリトンは、一応平和なイルカ島にいるけれども、ポセイドン族と闘っている最中で、本当はもっと緊迫してもいいはず。
 なのに、同じ年頃の人間の少年があらわれたとたん、警戒心を解いてしまい、また気軽に「プッチャーもおじいちゃんと二人きりか」と身の上話までしちゃうとこです。子どもっぽいといえば子どもっぽいけど、でも13歳のこどもなんだもの。いいよね。
そういうふうに「素直」にトリトン少年を描いてるところが好きです。
 そのおじいちゃんに「悪魔の子」といわれてすごーくショックだったろうな、と思う。

それが想像だけじゃなくて、具体的に衝撃を受けるトリトンを描いてるところが好き。
泣きはしなかったけど、うつろな表情と、塩屋翼君の巧い演技で「なぜだ、なぜ、オレが悪魔の子なんだ・・・!」とつぶやくモノローグ(それもトリトンの頭の中の)シーンがたまらなく好き。
動揺してるってのがよくわかる。
 そうだよ、ひどいよ、おじいちゃんは冷たいよねっ、とTVの前でつぶやいた人もいたのでは?

おじいさんの語る伝説の中のイメージ画がものすごくムードが出ていて好きです。
特にマントを高く掲げた村人のショットなど、「伝説っっ」という雰囲気がめっちゃでてる。
このシーン、描きたくても資料がないときは描きづらかっただけに、再放送で写真にできたときはうれしかった。(そうよ、TVの前で写真を撮ったのよ・・・。笑うな、そこのビデオ世代!当時は真剣だったんだいっっ)
 具体的な伝説の内容よりもカットがやけに印象に残っています。

あと、陸の人間が背景でなく、「海のトリトン」の世界に入り込んできた、というのが好き。
物語の周辺の人間がトリトン達の戦いにまきこまれるというシチュエイションがいい。
また、トリトン族というものが、陸の世界からみれば、異邦人というか、得体の知れない「よそもの」で、災いをもたらす、という印象を与えてるのだ、というムードがすきです。
 この雰囲気はなんとなく、第一話の村での疎外されていた(であろう)トリトンの陸での生活も、想像させます。

この話が「トリトン」の世界と、陸の、視聴者の世界を近くしている感じがするし、物語を作るのが好きなタイプの人にとっては格好の材料になったはず。
南の海のどこかにいけば、トリトンに会えるかも、という想像がはたらく。
(あり得ないけど信じたいと、いうか・・・)
この小さな陸の少年プッチャーは大きな世界を「海のトリトン」の世界にくっつけてくれました。

あと、好きなシーンは、トリトンがイルカたちをプッチャーに紹介するところ。

「オレの友達のイルとカル、よろしくな!」
うわー、さっきまでケンカしてたのに!
だから、こういうトリトンとイルカたちとの関係が好きなんです。
そして、人間の世界からはイルとカルは「イルカ語」で話す。この約束事がいい。

イルカと友達!あらためて、なんてステキなんだろう!と再確認。
プッチャーの場所に私も座りたーい!(こらこらっ脱線するなっ)

ラストでルカーがいつのまにか迎えに来てたのが、不思議だった。
でもルカーはやさしい。プッチャーがオレのせいで死んじゃった、と泣くトリトンに共感して一緒にないてくれたんだもの。ルカー大好き。

 ああ、そうだ、オリハルコンの剣をトリトンは使っていない。鮫たちも槍でやっつけているし。
すごい、トリトンって。

それから、最後になっちゃったけど、この話のタイトルバックがいつものアトランティスの地図じゃなくて、水平線に浮かぶ大きな島と船の絵だったんだよね。
放映当時、「いつもと絵がちがったよねっ」と私が力説してもあまり関心のない友人に「ふーん」と冷たくされてので(結局おぼえていなかったのね)がっかりした記憶があります。

ねっ、みなさん、ちがったよねっっ。

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