◆第6話の感想◆

  この話も、大したストーリーはないのだけど、トリトンとピピの考え方の 違いがでていて好きです。はじめの泣きじゃくるピピに「もう、あきらめるんだ、プロテウスは死んだんだ」と諭すトリトンはすごく「おにいさん」に見えました。 
 自分だって、ちょっと前は「じっちゃん、じっちゃん」って泣いてたのに。

一番わらったのは、ピピのシッポに海藻で作った縄をくくりつけて引き戻すシーン。
トリトンったら、いつの間にそんなに「器用」になったんだろって。
ピピが眠ってる間にでも仕掛けたんでしょうか。よく気がつかなかったなあ、ピピも。
子供っぽい二人のやりとりに、当時はすごくいらいらしました。
 ついつい、「画面」にでない部分を想像してしまいます。

あと、原始的な火おこしをするトリトンに驚きました。トリトンって根性有るなあ。
このシーンはもしかしたら、「赤道祭り」からではないかしら?
 昔、船乗りが赤道を越える際に火をたいてお祭りしたという慣習があったそうで、
その祭りをしようとして、トリトンが火をおこし、それにピピが恐怖するというのが
基本イメージだったような気がします。
 どの本でみたか記憶が定かでないのですが、元々はそういうことだったそうです。
 たぶん「赤道祭り」というのがなじみがうすいので、パンの実を焼いて食べるとい
うことになったのではと思います。

ピピが島から泳ぎだし、戻ってくるまでの音楽のみのシーンは演出がうまい。
ピピのセリフがないけど、ピピの不安な心をよく表してると思う。

それから、椰子の木にのぼるトリトンを不思議がるピピを見て、ルカーが「そういえば、
トリトン族は昔、子供を隠して育てていたそうです。ですから、私たちは子供のトリトン族
を見たことがありません」のセリフにめちゃくちゃ、想像力が働いてしまったです。

 どこに?どんな風に?どれくらいの人数の子どもがかくれていたんだろう??
そこはポセイドンに発見されて皆殺しになっちゃったんだろうか??
とか、お話ができるくらいに考え込んでしまいました。
うーん、トリトン族の隠れ保育園!おもしろいだろうなあ。

この6話を初めて見た時点で私はまだ、原作を引きずっていたわけです。
だから、トリトン族があるとき一時に大人になるその日まで、隠して育てて、成人して大丈夫(色々な意味で)と判断されたら、「外海」にでて、広い海のことを知る、というのがフツーのトリトン族の生育状況だったのかな、とか考えていました。

トリトンはせっぱ詰まって陸に預けられたために「伝統的な」トリトン族とは
ちがう方法で育ったわけです。逆にその方が、戦いに有利だし、伝統的な考え
にとらわれずに自分の力でポセイドンと戦っていけたわけです。
 当然、アザラシの中で育ったピピとはぜんぜん、考え方がちがいます。
 アザラシの中に人魚をぽん、とほうりこんでもよくわかりませんからねえ。

私はピピの方が本来のトリトン族だという気がすごくします。

それから、余談ですが、「フィオナの海」という映画で、アザラシが女性の姿に
なって、陸の男と結婚する、というアイルランドの民話が紹介されていました。
アザラシが皮をぬぐと、美しい女性の姿になるのです。そして生まれた男の子は黒髪で、
海が大好きで、良い船乗りになると言うことです。
日本でもむかし、海岸に打ち上げられたアザラシを「人魚」と記述してる文献もあるそうです。
アザラシ=人魚というのは世界共通なのかな、と思いました。

ギリシア神話では、海の神プロテウスは、海の女王、ピピ・・・じゃない、アンフィトリテの飼ってるアザラシの番人です。(「トリトンで知るギリシア神話」のプロテウスのページを見てね)

それから、剣を使わずにアンコウをやっつけたトリトンはさすがでした。
そのトリトンを素直に認めないピピもなんともかわいかった。
(これは今だからいえることで、当時はピピに腹たって、たって仕方なかった・・・。
思えばあのいらだちは何だったんだろう。ピピが理想の女の子じゃないからかな。
それとも戦うカッコイイトリトンをもっと見たかったからかな。そんなわがままな人魚の相手なんて
してほしくないってことだったのかな。・・・・それって「嫉妬」じゃんか!!あうう〜)

再放送ではじめて、最初の方にポリペイモスが初登場した回だったんだ、と気づきました。
私ってば全くトリトンしか見てない人でした。

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