◆第4話の感想◆

       第4話にして、ようやくこの物語のヒロイン、ピピの登場です。 
でもいきなり初対面で海に主人公を突き落としたヒロインはピピが初めてではないでしょうか。
でもトリトンもあんまり無防備。
「まだ小さい子じゃないか」と油断し、「人魚だ!へー、ホントにいるんだなあ」と素直におどろき、そして次には「ねえ、きみ、プロテウスをしらないの?」。
で、突き落とされたら、「なんて、人魚なんだ!!」
  ・・・・・そんなの、いきなり聞きますか?フツー? まして、トリトン君、君はね、ポセイドンと戦ってる最中で、どこに敵がいるかわからない状態なんですよ・・・。それにそのかわいい人魚のお嬢さんのシッポが、にゅるーと変身して、大蛇に化けるかもしれないんですよ・・・(これって清姫?)といいたいぐらい。それにピピが「まあ、すてきなお兄さま!プロテウスのところに案内してさしあげますわ!」なんて言うとでも思ってたのかい?チッ、チッ、甘いよ、トリトン君!オイオイオイ・・・
(そこが「まんが」だといわれればそれまでだけど・・・。)

 まあ、よっぽどトリトンの警戒心をといてしまうほど、ピピは外見はかわいらしい女の子だった、ということにしておきましょう。なんてったって、赤毛(金茶色か?)で緑の目!ぐらっ、とくるよなあ。(?)

とにかくこのピピは原作と違い、たいへんわがまま。平気で嘘をつき、こともあろうに主人公トリトンの活躍を賞賛せず、「カッコ悪い」となじる。
原作のピピ子はトリトンにぞっこんで、おませで、幼いうちから「早く結婚してトリトン族をふやしましょう」と原作トリトンを困らせますが、そういうところが「かわいい女」として描かれて、むしろほほえましい。

 でもTVのピピは全然ちがう。
おなじ手塚治虫先生の、人魚が主人公のマンガ、「エンゼルの丘」のあけみ(ルーナ)からキャラクターデザインをかりているのだけど(羽根さん談)、もとのマンガでは主人公だったせいか、「私が主役よっ」って感じがすごくします。
そりゃ、トリトン怒るよ、当たり前。トリトンは必死に戦ってんだよ。
TVじゃ、トリトンが主人公なんだってば。

 私はどうしてもピピは好きになれず、カットもトリトンは山ほど描いたのに、ピピは少ししか描いてません。
トリトンの陸での話はわんさか考えたのに、ピピの北の海での話なんて、一つだけ。
外伝とか考えるとき、ピピは邪魔でしかたない。トリトンだけの話ってものすごく好きなんだけど。
(私もわがままなのかなあ)
こんなに評判の悪いヒロインって珍しいと思う。
でもあとで、ピピも一人の寂しい女の子だって気づくんだけど・・・。

  一番の評判の悪さはこのピピが将来トリトンの「配偶者」になるってことじゃないかな。
だって、トリトン族はこのトリトンとピピしかいないんだから、将来二人が一緒になるのはもう運命。
やっぱりこんな女の子が人魚で、トリトン族であるというだけで、トリトンのそばにいるというのが女の子のファンには許せないらしい。どっかのファンクラブの会誌で「トリトンの子供を産みたいっ」なんてあったけど、気持ちはすごーくわかる。(ははははは・・・えらい現実的だ)

  でも、男性のファンには人気が高いようだ。やっぱり「人魚」にヨワイのだろうか??
それとも、こんな女の子は男の子から見てやっぱり魅力的なんだろうか。
自分が必死に闘ってるのに、足をひっぱるような、こんな子が。(私もえらい挑発的だな)

  あ、感想になってない。
プロテウスもいたんだっけ。第5話でまとめて書こう。

とにかく、ラストのデモラーをたおしたあと、苦しむ姿に目を背けるトリトンがいい。
まだ、少年なんだなあ、と思う。そして、戦うことのつらさ、苦しさを物語の中で具体的に描いてるのがいいと思う。本当はそんなこと、いちいち描いていたら、物語そのものが成立しなくなってしまうんだけどね。

私個人は、演出の富野さんの戦争体験が影を落としているのではないかな、と思ったりします。
太平洋戦争の時に少年期だったと思うんですけどね。
あくまでも憶測ですので、断言はできませんが。

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