◆第14話の感想◆

 予告では、一話でかっこよくルカーに飛び乗るシーンと、ポリペイモスと戦うシーンの両方がでてきたような
気がします。 よくわからんな、というのが第一印象。でも1話のシーンが出たときものすごくドキドキしたのを
覚えてる。

実はこの話、けっこう好きだったりします。
前半はほとんど1話〜3話の回想シーンなのですが、ナレーターがトリトンなんだもん!!!!
トリトン自身が自分が海に出てきたことを振り返る、というのがすごくツボです。
後で制作状況を聞くとスケジュールがギリギリで大変な状態で、それで作画枚数をうんと減らした
話を作ったらしいのだけど、当時の小学生の視聴者にそんな裏事情わかるわけない(^^)
素直に、わあ、忘れてた1話とか見られてウレシイ!でした。
 

実はこの14話あたりで自分は初めて「海のトリトン」をみて3ヶ月ぐらいたってるのですよね。
で、友人知人もぽつぽつトリトンを見る人がふえて、決まって聞いてくるのが、
「初めはどうだった?」。
自分はもうトリトンにぞっこんでめちゃボレだったのに、悲しいかな、記憶が曖昧!!
今のように原作が同時発売でもないし(あれば逆に混乱したかも;;)アニメアルバムみたいなものも
ないし、ストーリーの記録のようなものが全くない!!
本当にすぐにビデオやDVDが出る今の状況がチョーうらやましいです。
だからこの回想14話はおおいに記憶を助けてくれたのでした。


冒頭はやっぱりイルカ島爆発シーンで、トリトンが戦ってるシーン。
それでトリトンの寝顔!!!!♪(めっちゃかわいいぞ!!!惚れた!!)
で、「イルカ島がやられる夢なんか見て・・・」とつぶやくトリトン。
それでもって落ちてゆく渡り鳥をみて、「力のないものは負けるか・・・」と悲しそうに言うのがまたいい。
なんか、トラウマっていうか、すごくトリトンの心の大きなダメージなんだな、と言うのがよくわかる。
それでもってトリトンって人格がますますこっちにぐっとせまってくるわけ。
実在感がでてくるのよね。

それでもって「オレはどうして一平じっちゃんと別れて海へ出たんだろう」と回想が始まる。
で、回想だから1話などのシーンをそのまんまかと思えばそうでもない。ビミョウにセリフまわしがちがいます。
もうこの際おもしろがってかいちゃおうとおもう。

(ルカーに出会って洞窟で話すシーン)

<回想バージョン>

<元のバージョン>

 

トリトン「ええ!?オレは捨て子!?」
ルカー「そうです。トリトン族のあなたのご両親にたの     まれて、あたくしがお預かりした大切な方なのです。」
トリトン「オレは一平じっちゃんの子どもだ!トリトン族なんて聞いたこともないや!」
ルカー「あなたはトリトン族です。だからこそポセイドン一族の怪獣がもうじきやってきて・・・・」
トリトン「えっ・・怪獣がオレを狙っているか逃げろってのかい!?」
ルカー「あなたはもう見つかっているんですよ。逃げなければポセイドンの怪獣が村をめちゃめちゃにしてしまうんです」
トリトン「関係ないよ!知るもんかそんなやつ!オレは漁師の子どもなんだ!」
ルカー「トリトン・・・」

トリトン「 ええっ!?何だって、オレがトリトン族の子どもだって?」
ルカー「そうですよ」
トリトン「ばかばかしい!オレは一平じっちゃんに育てられた漁師の子どもだ!」
ルカー「いいえ、あなたは遙か大西洋に住んでいたトリトン族の忘れ形見なのです」
トリトン「ケっ!でたらめ言うないっ!トリトン族なんて見たことも聞いたこともねえや!」
ルカー「いいですか、トリトン。13年前にトリトン族は海の独裁者ポセイドン族に襲われたのですよ」
(中略)
トリトン「ふんっ、そんな話誰が信じるものか!」
ルカー「ポセイドン族は海を支配しようとしているんですよ。海の自由を守るためにはあなたが必要なのです。」
トリトン「知るもんかっ!オレは漁師の子どもだ!一平じっちゃんの子どもなんだ!」
ルカー「違います!あなたの緑色の髪の毛が何よりの証拠です」
トリトン「髪の毛のことはいうなあ!」


・・・・てな具合です。(改行位置が固定できませんでした;;)
いまだったらビデオなどで視聴者もしっかり「記録」がありますから、「ちがうー」とつっこめるのでしょうが
そこは当時の感覚と、途中から見た視聴者に今までの経緯をわかりやすく説明するという配慮から少し
ちがうのですよね。(時間の関係もあるし)
自分の印象では1話のトリトンの方が猛々しく、激しい感じがします。
14話ともなると「落ち着いて」来るのですね(^^)

私はトリトンのナレーションというか独り言がめちゃ気に入りました。

「ルカーの言うとおりだった。一平じっちゃんがトリトン族の衣装とオリハルコンの剣を隠していた。
あんなものがなければ、海へなんかでてなかったんだ!」
 

ここにオリハルコンを抜くシーンが重なります。

「海になんか」ってセリフが「本当はイヤなのに」というニュアンスがでててすごくいいです。
こんなに自己肯定感の少ない状況になじめない主人公も少ないとおもう。
与えられた場所に違和感を感じる「異邦人」感覚ってものが「海のトリトン」にあるんだと思う。
それはイルカ島になじめないピピにも同様のものを感じます。
その辺が思春期前後の「どうしてオレ(アタシ)はここにいるんだろう」という感覚と通じるんじゃないかと
思います。受けた理由の一つがこの辺かな???

で、2話3話の分は省略して、旅イルカとの出会い。
東北弁というかずーずー弁のイルカがおかしい。「田舎モノ」って感じをだしたかったのだろうけど、
大西洋にいる方が「エリート」なんではないかと思ったりして。
事情に通じてるのでは?とも思うのですが。
このイルカの一人(一匹?)が森功至さんなんだそうです。(後に「ガッチャマン」で翼さんと共演)

旅イルカに両親らしき人の噂を聞き、大西洋に行くことを固めるトリトンとピピ。
ここで「両親」と言うのを出してきたのは、この時点ではもしかして、トリトンの両親が生きて大西洋に
捕らわれていたというバージョンの話が想定されていたのでは、と思います。
自分もトリトンはきっと両親に会えるんだ!と信じて疑わなかったのでした;;
(子どもの記憶をなめちゃいかんよ;;それでアタシは最終回ショックだったんだからね;;)
 

そこにポリペイモス登場!!トリトンとの対決です。
でも旅イルカ達の協力でアンコウの角を切り、アンコウたちを狂わせてしまうトリトン。
焦るポリペイモス。
ココの作画もよーく見るとひどいけど、もうそれはおいといて、暴れ回るアンコウたちにおたおたする
ポリペイモスを余裕をもって見ているトリトンがとってもヨカッタね!!
なんかすっごく「大人」に見えましたよ。こういうトリトンがとっても大好きです!!
15話でも書いたように、ポリペイモスはすでにトリトンの相手ではないのかもしれません。
 

ラストは大西洋に向かうトリトンとピピ。対照的にイルカ島に向かうというイルカたちに、トリトンが
「イルカ島を立て直してくれ」という。
こんなところに後に、トリトン達は太平洋に戻るのでは?と言う想像がはたらきます。
自分の中で「海のトリトン」の世界とキャラクターが動き、世界が広がっていったのはこういう含みのある
表現があちこちにあるからではないかと思います。
回想が多くて半分は手抜きかもしれないけど、物語中盤のなにか「希望」の持てる話なのでありました。

ああ、そうだ。大西洋ではポセイドン一族が大集合して作戦会議をやっておりました。(思い出したように;;)
ネレウスの声の方がいつもと違いました。



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