◆第12話の感想◆
予告では、爆発する溶岩と、吹き飛ばされるトリトンの絵があったので、これは大変だ、という考えが
よぎったのを 覚えています。
ポセイドン像の全身が具体的に出てきたのもこの回が初めてだと思います。
すごくこわい印象があったと思います。威圧感というか、なんというか。
トリトンの敵がこんなにこわーいおじさんばかりで、トリトンを殺そうとしている相談を具体的にしているという
恐怖感がありました。
それとオリハルコンの短剣について、「あってはならないもの」「出てきてはこまるもの」という感じがすごくして、
トリトンがオリハルコンという武器をもって戦ってるのが当たり前、と言う意識が強かっただけになんだか不思議な感じが しました。
さて、トリトンがイルカ島にもどる、それをクラゲが見つけて告げ口する。
これってまるで、トリトンが外海に出たためにイルカ島にいることが発見されてしまうという感じでとてもいやでした。
トリトンのせいでイルカ島がやられちゃったんだ、みたいで・・・。
トリトンに罪はないのに・・・。
でも話の進行として、いずれイルカ島はポセイドン族に発見される、そのシチュエイションとしてトリトンがイルカ島に 帰還するシーンが選ばれたんだ、ということなのかな、と思いました。
ほら貝の声を聞くピピがなんか変。
ほら貝の声をきいてしみじみしてるのはトリトン、というイメージがあるけど、今回はピピ。
おまけにトリトンのイメージ映像付(^^)。(この絵好きです♪)
ピピがトリトン族だという証拠だけど、ほかの人に伝わるメッセージだったら秘密がばれて大変じゃん、と思うのって
ちょっとおかしいかな。
それでもってほら貝を遠くに投げてしまうピピ。やっぱりトリトン族だね!ほら貝投げちゃったジャン!(爆)トリトンとピピって似たもの同士なのかもね。
さて、トリトンがようやくご帰宅(?)ルカーに抱きつくトリトンがかわいい♪
ここの絵はちょっと乱れていて、トリトンの瞳がキャラ表とちがうし、少し太り気味(T.T)なんですけど、でもトリトンと
ルカーが切っても切れない親密な関係というのがよくわかる。トリトンが無事帰還したのにピピは遠くから眺めてるだけ。
ホントは気になるのにさ。
でもトリトンが小屋に来るとさっと身を隠す。
ピピの女の子らしい心理が良く描かれています。ピピがトリトン族だったことが判る。
でもこれも前回書いたように、なんで今更、と言う気もする。
「大西洋に行ってポセイドンにでもきいてみろってさ!」
え、実際には「自分で確かめるてみるんだね」でしょ、トリトン君。
情報を都合のいいように変えちゃだめだよ。
ビデオとかあるんだから。(^^)
でもトリトンとしては自分たちのことが一番ポセイドンにきいてみたいことだったかもしれないね。
トリトン族って、何で、どういう風に生まれてきて、どうしてポセイドンに追われるようになったのかって。
そして男と女ではなぜこんなに形態が違うのか、とかね。
それとオリハルコンの謎もね。どうして今トリトンの手元にあるのか、ってことだよね。
自分たちのことが自明のこととしてわからない、ってのが一番トリトンたちにとってはイライラすることだったのかも
しれませんね。
でも海の異変に気づくトリトンたち。
「なんだか生あったかいようないやな感じなんだ」
トリトンのセリフに「海人の勘」みたいなものを感じます。トリトンは海で暮らしてるんだなあ、と実感。さて、いよいよポセイドン像の目が光って光線を発し、それがイルカ島までに届く!!
ふえーっっっ、ものすごい遠距離攻撃じゃん!!弾道間ミサイルもまっさお!!!!
ちょっとこれにはぶったまげました。
漫画っぽいと言えばそうだけど、この絵の重厚さと演出のうまさで納得してしまう。
「海のトリトン」の中で一番のスーパーマンがポセイドン像かもしれない・・・・・・。とうとうあちこちで噴火が始まる。
騒いで右往左往するイルカたちにバシッと説得するトリトン。
「お前たちは海に住む生き物の中で一番速いんだ」
演説するトリトンになんか「作為的」なものを感じた。でも「大人」っぽい。
ドリテアとの戦いでぐぐっと成長した印象がある。ルカーにピピを乗せるトリトン。
「離ればなれになっても必ずまた会えるからね」トリトンのせりふがとっても「お兄さん」っぽい。
やけに優しい。ちょっとどきっとした。
以前なら「きっと会えるからな!ルカーのいうことをよく聞くんだぞっっ」なんて叱りつける感じだったでしょうに。
これにはさすがのピピも「トリトォン」と甘えるような感じで呼ぶ。
こういうやりとりがとても好きです。
色々あっても二人はお互いをとっても意識してる。
そういう小さな変化がとても好きです。
トリトンはもう大人だね。責任とって最後まで「現場」に残る。みなを安全に逃がして確認してから自分が行く。
13歳の少年なんだけど、自分で描くときについつい年齢が上がるのは、こういう「大人」の行動をトリトンが
とっているせいかしら、と思います。
ここでもまたトリトンとルカーが離れる。
後半の感想でものべるけど、ポセイドンとの闘いが激しくなるとき、何故かルカーはトリトンの側にいない。
トリトン一人で対決する構図がある。モチロン、ルカーは重要なキャラで、大抵トリトンと共にいて、色々サポートするんだけど、いざ、大きな闘いと
なるとトリトン一人、ということが多い。
これはトリトンが一人前、ということなのかな。それともこの物語のもつ構造的なものかしら。
でも爆発が激しくなり、トリトンも吹き飛ばされてしまう!
もう周囲はめっちゃくちゃ。逃げようとするイルカたちをポリペイモスの手下のサメやアンコウたちが襲いかかる。
残酷なシーンが続きます。
トリトンはオリハルコンの剣を抜いて応戦しますが、なぜかBGMはもの悲しい雰囲気。
剣で鮫たちをやっつけてもやっつけても追いつかない。
トリトンの焦りと疲労。そしてまた吹き上げた爆風(爆流?)のため、激しく海底に打ち付けられる。
悔しそうなトリトンの顔(好み♪→オイッ)
そして、ラスト、剣を片手に重々しい音楽とともに海上に浮上していくトリトン。
ここで、かっこいい、と書けばフツーの感想なんだけど・・・・、へそまがりのワタシは正直に書いちゃいます;;
このシーン、初めて見たときずいぶん悩みました;;;
なぜかっているいうと「意味」がわからんかったからです。
じゃあ、どういうシーンだと「納得」したかというと、剣を抜き、吹き上げる溶岩をバックに、鮫たちに立ち向かう
トリトンの止め絵とかだったら、「ああ、トリトンはイルカ島が爆発させられても、負けないでがんばるんだ」と
いう「意味」が読みとれます。
また、一言トリトンが「ポセイドンの奴らになんか、負けるもんか、ちくしょう!!」なんてセリフがあると
とても「前向き」なメッセージが感じられて、それで次週まで「不安」がらないですみます。
この何も言わないで浮上していくというシーンは当時のワタシには理解不能で、「不安」の残るシーンでした。
後にTVを見たクラスの友人に「あれはどういうこと?」と聞かれました。
また「あれってトリトンが死んだってこと?」とスゴイ飛躍的な解釈をしてくる人もいて、(今思えば鋭いのだが)
答えられない自分に、「自分だけじゃなく、みんなもわかってないんだ、よかった」なんてコトも思いました。
(その人には「トリトン死んでない!主人公が死ぬわけない!あほ!」と言ってしまいました;;;ゴメン)
これは戦いの空しさ、ポセイドンの圧倒的な強さを描き、主人公=すべて勝つ、というパターンを崩した演出
ではないかと今なら思えます。
トリトンはポセイドンの力に「敗北」したのです。
ドリテアという怪人の一人には勝ったけど、ポセイドンという本当の大西洋の敵には負けたのです。
トリトンの力のなさを表現してるのだとおもいます。
調べてみると、この話の絵コンテは富野氏ご自身が描いておられます。
今思えば、富野さんの表現したいことがもっともストレートな形で現れているのではないかと思うのです。
毎回冒頭に「今から5000年もの昔・・・」とナレーションが入っていいたのも今回で最後です。
気がついたのは次回からなんですが。
とても淋しくて、「あれっ」と思ったのを覚えています。
物語の「折り返し点」だったと思います。