「海のトリトン」基本設定その1 |
TV版「海のトリトン」の企画書に書かれたテーマや番組の 狙い、主なキャラクターを紹介します。 この企画書はいつ、どなたが、書かれたのか、詳細は不明です。おそらく、TVアニメ化が決定し、まだ原作の新聞連載が終了していない時点で書かれたものと思われます。 このページの文章は昭和52年発行の「海のトリトンファンクラブ・九州支部」の別巻からの抜き書きです。明らかな誤字 と思われるもの(例:太平洋→大西洋)以外は原文のままです。 各話のストーリーの設定は「基本設定その2」で紹介します。 |
○ 1人の少年が、海を支配する悪いポセイドン族を倒し、かつて彼らに亡ぼされた
トリトン族(アトラス人)のユートピア再建をめざして、七つの海をめぐる海洋冒
険談。
○ その途中で起こる数々の闘争・和解・出逢い・別れ――これらを通して、1人の
人間(理想のトリトン族)に成長していく少年トリトンを描く。
その目指す果てにあるものは、果たして何か?
すべての謎を解く鍵は、トリトンが両親から託された形見のオリハルコンの剣。
オリハルコンの短剣の秘密とは?
(その秘密は、トリトンが、剣の能力を発見し、そのエネルギーを、制御していく
過程で、次第に明らかになっていく。)
○ 約5000年前の昔、大西洋に存在した大陸アトランティス。そこは、自由と平和
を愛する人々(アトラス人)のユートピアだった。
アトラス人たちは、いわゆる、神意にかなえる人々で、ゆたかな土地と文明に
恵まれていた。
○ ある時、このユートピア(大陸)を、わがものにしようとして、ポセイドンと呼ばれる
異民族(海人)が侵入してきた。
ポセイドン族――それは、アトラスの人々にとって、諸悪の根源であった。
○ その後、アトラス人とポセイドン族の間に、永い戦いが、起こり、その結果、大陸は
一日一夜で、海底に沈みアトラス人は、死んだ。
○ ポセイドン族は、海底に沈めた大陸(ユートピア)を自分のものとして、そこへ<死の
海>を築いた。ポセイドン族の天下は、当分続くものかと思われた。
○ しかし、アトラスの人々は、大陸が海底に沈む前に、自分たちの将来、在るべき姿
(理想)として、トリトン族という水陸両棲人類を造ることに成功していた。
(アトラス人の人々の考え方として、自然と人間の同化した世界こそ、ユートピアで
あるということがあった。母なる海の呼び声であり、自然回帰である。)
○ 海底に沈む直前、アトラスの人々は、ポセイドン族を倒し、新たなるユートピアを
再建する鍵として、オリハルコンの剣を、トリトン族に与えた。
トリトン族は、アトラスの人々の末裔として、すべての希望を、たくされたのである。
○ かくして、トリトン族は、ポセイドン族を倒し、ユートピアを再建せよとの先祖(アト
ラス人)に祈りを背に、死の海を支配するポセイドンに立ちむかっていった。
○ だが、生まれたばかりのトリトン族は、その数も少なく、知識、能力も未発達であっ
たため、悪知恵に長け、怪物や超自然能力を駆使するポセイドン族には、かなわず、
次々と倒されていった。
(トリトン族は、まだ道具の使用ができなかったのである。せっかくの宝であるオリ
ハルコンの剣を持っていても、それを、使いこなせなかったし、手も使えなかった。
トリトン族にとって、手は泳ぐためのものだったのである。)
(トリトン族が、何故未発達だったのか? 造物主のアトラス人が、彼らを育てる
前に滅びたからである。そそて、ここに、少年トリトンが、赤ン坊の時に、人間に
預けられた意味が生きてくる。)
( これと呼応して、その後に登場する少女ピピも、エレプス号という、氷山にとじこ
められた、人間にゆかりの深い船を、住居としている。)
○ 主人公のトリトンは、両親がポセイドンのために殺されたあと、七つの海をまわっ
たことのある漁師の一平爺さんのところにあずけられ、人間の知恵と技術を吸収し
た。そして、13年後、ルカーに迎えられて、もう1人生き残ったピピとともに、父や母
が戦ったと同じように、ポセイドンを倒すべく海へ出るのである。
( トリトンが一平爺さんに育てられたということは、このドラマにおいて、実に重要
な役目をしている。彼は、何かにつけて爺さんや育った漁村のことを思い出す。
トリトンが成長したとすれば、その尺度は、人間世界と対比する以外に出てこな
い。つまり、視聴者からすれば、トリトン族とはいいながらも、トリトンは、観る側
と同じ人間なのである。だから、人間が海の世界に飛び込んだとしたら、どうな
るかを常に考えた上で、トリトンは、描かなければならない。)
<トリトン>
漁師の一平爺さんに育てられた少年トリトンは、自分がアトラス人の後えいで、
トリトン族のただ1人の生き残りで在ることを知り、海をほしいままに支配するポ
セイドンをたおし、海に平和をもたらすべく立ちあがる。
○ だが、当初のトリトンは、何も知らない。アトラス人やトリトン族・ポセイドン族
の歴史的背景については、何も知らない。
○ 一話一話、謎を解きながら進んでいくのである。
トリトンの前に立ちふさがる謎
(ポセイドン族とは?)
(どんな組織でどんな力をもっているのか?)
★敵の組織と支配形態は、別項にてふれる。
(連中を倒すには、どうしたらいいのか?)
★これは、オリハルコンの剣の性能開発と密接にからんでいる。
○ 同時にトリトンは、自分の先祖のトリトン族とは、何なのかという疑問に突き
当たっていく。それは、少年の自己探求であり、精神的成長につながっていく。
トリトンの精神的成長
――それは、段階的に縦に成長するものではなく、単に、新しい
経験として、水平に並ぶものでいい。
○ オリハルコンの剣――それは、斬ったり突いたりするものではなく、最終的
にはポセイドン族を消滅させ、死の海の光をもたらすエネルギー源、つまり海
の太陽である。
トリトンは、その行く先々で、ポセイドン族の怪物と戦う度に、剣の新しい威力
を知り、それを使いこなせるようになっていく。できれば、剣の能力開発とトリト
ンの精神的成長とが車の両輪のように、密接にからみ合っているように描きた
い。(成長したとき、剣の能力も 加っていくように。)
○ポセイドン側は、おのれの死の海支配を邪魔する者として、トリトンやピピを殺
そうと次々に、怪人や怪物をさしむけてくるが、オリハルコンの威力には、おび
えている。ポセイドンは、オリハルコンの剣が、最終的には、太西洋に押し入っ
てきて、秘密の扉――一種の「天の岩戸」であり、暗黒世界を消滅させる扉を
開けることを恐れている。
○ かくて、トリトンは、そのゴール大西洋をめざしながら、あちらにさまよい、こ
ちらにぶつかりながら1人の人間として成長していくのである。
<ピピ>
○ トリトンと同じトリトン族の生き残りで北極に住むアザラシ族の長、プロテウス
に育てられた。最初、自分が人魚の姿をしていることから、トリトンと同族である
ことを拒否する。また、トリトンの剣のためにミノータスが暴れて、アザラシ族が
犠牲になったことから、トリトンを憎む。しかし、何度か、トリトンに危ういところを
助けられたりするうちに、次第に心がひかれていく。
(成人したあかつきには、ピピも脱皮して、トリトンと同じ姿になり、2人は
結ばれるかもしれない)
<ルカー>
○ イルカ族の指導者。トリトンを一平爺さんにあずけ、後に迎えに行く白いイルカ
で女。海の平和をとりもどしてくれるトリトン族の1人として少年トリトンに期待し、
数々の海のことを教えているうちに、次第にトリトンのことを我が子のように暖かく、
時には厳しく育てるようになっていく。こうしたルカーは、トリトンにとって、心のより
どころである。
(つまり、海における一平爺さんの役割)
<イル・カル・フィン>
○ トリトンを助けて活躍するイルカの三兄弟。といってもベタベタ仲がいいのではな
く、むしろ、ケンカ友だちといったところ。イルは長男のおっとりタイプだが、言うこと
は、しっかりしている。カルは次男坊で、正義漢。フィンは、末っ子の甘えん坊で、
トリトンやピピに最も、なつき、ホラ貝吹きを、かってでるかわいい奴。
※殺伐な戦いの中で、このイルカ三兄弟の活躍は、唯一の笑いをもたらす
ものにしたい。
○ポセイドン族とは?
★ポセイドン族とは、ポセイドンを長とする一つの種族である。
★彼らは、アトランティス大陸を攻め、それを、海底に沈めた侵略者(異民族)
で、海を支配する諸悪の根元。
★ポセイドンは、大西洋の海底、巨大な海底山脈の谷間に深く、アトランティス
の廃墟にすむ。周囲は暗くもやっている。
常にポセイドンの正体は見せず、時には黒い影として、時には目だけという、
現れ方をする。
ポセイドンはマーカスを使って各地の一族に司令をだし、クラゲの情報網を
はりめぐらしている。
★マーカスについて
ポセイドン直属の者で、テレポート能力を持ち、いつ、いかなるところへも
出現する。
――海だけ
マーカス自体には力がないが、ポセイドンの意志伝達者としての権力を持
ち、他のポセイドン族をふるえあがらせている。
★クラゲ達
ポセイドン族の情報網を作っている者たち。各地の海に散らばり、ポセイ
ドンに反抗するもの、邪魔になる者としてのトリトン達を監視している。
その情報は、ただちに、ポセイドンに伝えられるとともに、他のポセイドン族
にも伝えられる。
★ポセイドン族達は、それぞれ各地の海にすみ、周囲を、いろいろの手段を
用いて、支配している。彼らは、それぞれ、ある主の超能力を有し、怪物
(怪魚)を手下として、トリトン達を、せめたてる。
※彼らの能力は、どの程度にエスカレートするのか、その奥は、はかり知
れない。
○ポセイドン族・地区司令官たち
◇ドリテア 北太平洋の深海、海の墓場に住む。周囲の水は淀み、光は
(北太平洋) ない。
周囲には、手下のギンザメが、無数にいる。船の残骸が積
み重なり、岩が不気味な形をしている。ドリテアは、沈没船
の船内で、宝物に囲まれており、そのムチは、何者をも石
と化す。
◇ミノータス 氷の中、流氷によって作られた氷の宮殿というところにすむ。
(北極海) 常に瞑想にふけっている。
周囲は、氷の迷路によって囲まれ、氷は、青白く輝く。怒ると
身体から冷気を吹き、怪力を発する。
◇ポリペイモス 火山島のそばの海底にすむ。地鳴が続く。イオウが、
(南太平洋) 溶岩が吹き出し、水はにごり、水流がうずまく。性格は、悪
賢く、残忍である。常にアンコウを乗り物として使用して
いる。
<その他・例として>
◇ヘプタポーダ サルガッソー(魔の海)にすむ。海草らの林に囲まれ、
(北大西洋) 光が、不思議な模様を描く。
◇アローン 海底の大洞窟の中に住む。ゴーゴーと鳴る海の音が、
(南大西洋) 時々音楽的なものを作る。大洞窟(鍾乳洞的なところ)
◇レハール 南極大陸の下。地底の湖に住む。地の割れ目の底にあ
(南極) る。巨大な植物の林あり。
◇ギガンテス もと海底火山だったところの空洞に住む。水は冷たく、周囲に
(インド洋) 化石がある。サイケな感じ。
○ポセイドン族の怪物たち
◎サラマンドラ
イ) 第一話に登場
ロ)古生代に住んでいた大トカゲを再生したもの。
ハ)性格は狂暴
ニ)武器は、その挙だな口と何者をも、かみ砕く歯と牙。また、尾は
一撃のもとに、家や船を破壊する力を持っている。
ホ)ポセイドン族の一人、ドリテアに使われており、北太平洋の海面
に近い暗礁・岩場に住んでいる。
◎シトルモビック
イ)第2話に登場
ロ)性格は狂暴
ハ)巨大なエイとノコギリザメを合成したもの
ニ)武器は、ノコギリのような、ツノで、そのひとつきは、鉄すらも貫く。
又、ジャンプ力はばつぐんで、水面上を飛行機のように跳べる。
ホ)サラマンドラと同じく、ドリテアに使われていて、北太平洋にすみ、
普通は、海底の砂地に身体をうずめている。
◎ゲプラン
イ)第3話に登場
ロ)ダイオーイカを巨大化したもの
ハ)身体から毒液をはき、その触手で、すべてのものをからめみとり
にぎりつぶす。
ニ)水中での速力は、触手の反動を利用して、すさまじいスピードを
出す。
ホ)ドリテアの手下。ジェット海流の走る海底の岩場に住み、獲物を
洞穴にひっぱり込もうとする。(北太平洋)
◎デモラー
イ)第4話に登場
ロ)古生代にいた魚龍を再生したもの
ハ)音に敏感で、獲物の動きをとらえて、おそいかかる。巨大なヒレで、
水中・水上を泳ぐ。シッポの力は強く、巨大な氷山を真っ二つにする。
ニ)ポセイドン族の一人、北極海を支配するミノータスの手下。
ホ)氷の洞穴に住む。北極にすむ。
◎巨大アンコー
イ)第6話に登場
ロ)ちょうちんアンコーの巨大化したもの。性格は、音に敏感で、臆病な
ところがある。
ハ)南太平洋を支配するポセイドン族の一人・ポリペイモスの手下。
常に、ポリペイモスの乗物として使われる。
ニ)深海に住み、頭のちょうちんのようなものから、音波をだして相手を
捜す。歯の噛む力は、すさまじく、船をかみ砕く。又、ヒフは、鋼鉄の
ように強くて固い。
ホ)時として、身体から霧を吹く。
◎リューダ
イ)第7話に登場
ロ)性格・頭の回転がよい。
ハ)アンコーと同じく、ポリペイモスの手下。
ニ)海流のぶつかりあう海草の林の中に住み、海ヘビから進化した。
ホ)自分の身体を回転させて、巨大なタツマキを作りだし、周囲を
破壊していく。南太平洋に住む。
◎ハングラー(仮名)
イ)登場回は未定
ロ)性格は、狂暴、単純
ハ)ポリペイモスが、海綿(ウミワタ)から、人工的に作り上げたもの。
ニ)なんでもかんでも食べまくり尻尾から毒液を吐き出す。この液は、
すべての者を解かす。又、身体を自由自在に変形させることが
できる。
住所不定。どこでも歩き回り、食い物が無くなるまで食べる。
南太平洋であばれまわる。
ホ)ただし、太陽の熱に弱い。