ギリシア神話、叙事詩参考文献その2

 ギリシア神話そのものというより、神話学や悲劇の
解説や写真集など、ちょっとはずれた物も扱います。
また、手元になく、借りてきた物も紹介しています。
順次追加していく予定です。

『トリトン』で知るギリシア神話にもど


参考文献その1その3

書名 著者と出版社

内容・説明


オイディプスの謎

吉田敦彦


★青土社


 
父を殺し、母を娶るという過酷な運命に翻弄されながらも、高貴な精神性を失わなかった主人公オイディプスの謎に挑む。
 文中にアテナ=トリトゲネス女神とある。

アクロポリス

澤柳大五郎
撮影・編集

★里文出版


 
ギリシア神話とは直接関係ないが、アクロポリスのパルテノン神殿を中心に著者自ら撮影した貴重な記録。現在見ることの出来ない神殿の内部の写真、彫刻の背面など、普段見られない部分が嬉しい。美術館や博物館の写真集とはまた違う生きた神殿の様子が伝わってくる。 
  澤柳氏は1995年に逝去されており、これは遺作である。

NHK大英博物館3
 ギリシャ・
パルテノンの栄光

 責任編集
 青柳正規

★日本放送
出版協会


 
 1990年に日英共同製作されたNHKの番組「大英博物館」の関連本。豊富な写真と解説が嬉しい。特にパルテノンの彩色についてのCG再現がおもしろい。
 エルギンマーブルと言われる破風彫刻群の数奇な運命とか、美術品のたどった経緯もわかり、楽しい。色々な意味でビジュアルな参考資料となる本。
表紙の図はアマゾンの女王ペンテレシイアを倒すアキレウス。

アルゴー号の

大航海

ジョバンニ
 ・カセリ

文と絵

★評論社

 

 『アルゴナウティカ』(アルゴー丸の冒険物語)をビジュアル化した大型絵本。ギリシャの壺絵風のイラストが美しい。オールカラー。地理的な順に従って一枚の絵になっている。読んで楽しく、見て楽しい傑作絵本。もちろん、海神トリトンも登場する。

『イーリアス』
ギリシア英雄叙事詩の世界

川島重成 

★岩波書店
(岩波セミナー
ブックス37)

 
 1990年9月〜10月にかけて行われた岩波市民セミナー<『イーリアス』を読む>の講義記録をまとめたもの。口承叙事詩文学である『イーリアス』の読みどころ(聞きどころ?)をポイントを押さえつつ、わかりやすく解説してくれている好書。
 巻末に口承叙事詩についての詳しい解説があり、これから『イーリアス』や『オデュッセイアー』を読む人に親切な入門となると思う。

 

ホメロスを
楽しむために

阿刀田高

★新潮社

 上記の本よりはくだけて楽しく読めるホメロス入門。
 内容もわかりやすいし、現代のギリシア人が『イリアス』や『オデュッセイア』の世界に親しみを抱いている様子がよくわかる。ちょっと阿刀田さんの私情が入りすぎるのが玉にきずだが、楽しいからまあ、いいでしょう。

神話の話

 大林太良

★講談社学術文庫

 第一章に「海の神話」があり、世界各地の海の生成神話が概観できる。特に東南アジアの神話がおもしろい。
 人魚にまつわる伝説も紹介されており、ギリシア神話だけでない多様な神話の世界が楽しめる。

海の神話

大林太良

★講談社学術文庫

 文字通り、世界各地の海の神話を集めた本。
上記の「海の神話」の部分を詳しくしたものだがそれ以上に内容が濃い。
 日本神話のイザナギが三貴子(アマテラス・ツクヨミ・スサノオ)を産んだとされる神話が、ギルバート諸島の神話の最初の夫婦が、太陽、月、海を産んだとするものに類似すると言うのは興味深かった。
 また、ギリシア神話についての記述で、海神トリトンの母親のアンピトリテの重要性に触れ、彼女の父のネレウスともに海の老人とされるプロテウスを、日本の「シオツチノオジ」と比定する吉田敦彦氏の説を紹介している。
 単に海の神話を羅列するだけでなく、それぞれのつながりなどもわかりやすく解説されており、楽しめる。巻末に索引がついていて便利。

ホメーロスの
諸神讃歌

訳註
沓掛良彦

★平凡社

 日本で『ホメロス讃歌』と呼ばれている全作品の日本語訳。デメテル、アポロン、ヘルメス、アフロディテに捧げられた『四大讃歌』を含む。
 詩は幾分たいくつだが、詳しい訳註がギリシア神話の解説のようで、興味のある人には一級の資料となろう。「序に代えて」にも、こういうモノを読む人は畸人であり、その忍耐がたたえられるべきである、なんて書いてあるぐらい。
 「海神トリトン」のトリートゲネイアとの関連についてはこの本から拾ってきた。