※感想を書くときにメモしたものの抜き書きです。
変な言葉が多く間違いもあろうかと思いますが若気のいたりと勘弁してやってください;;

■海のトリトン自己流分析モドキ■

 


.問題点


・「海のトリトン」はTVアニメとして放映されたものだが、神話や物語、創作童話としての分析が可能だろうか?
 

(第一話冒頭のナレーション、「この物語は日本の一漁村から始まる。」なので、OKとする) 

(子供向けアニメとして製作されたものなので、視聴対象年齢が幼児〜小学校低学年と企画書や設定書などにあるので、
可能だという論拠)


*それに対して考えられる反論:映像として表現されたものだから、もっと映像論なども取り込むべきか
(映画としての分析も考慮に入れる)


・子供の頃見た好きな話を分析してみるというノリを忘れずに。
・トリトンが少年のまま、ラストを迎えた訳。また「生き残った」理由。(原作では成人し、死んでいることからの比較)
・ユングの解釈によるものも取り入れる。
       (そればかりになってこじつけにならないように注意する→もっと勉強すること)
・元型(アーキタイプ)の検索
・グレートマザーとしての登場する女性キャラクター。
・アニムスとしての、ピピから見たトリトン。
・アニマとしてのトリトンから見たピピ。
・影(シャドウ)はポセイドンか?
・レハールはいわゆる魔術師か、それとも魔法使い?
・多くの老賢者の登場。そして別れ。死。
     (一平じっちゃん、メドン、プロテウス、プッチャ−のおじいさん、シャチのおじさん、ラカン、
     そして、ポセイドンの街に死んですわっていた、長老らしき人物→たぶん法螺貝の声の主)
・物語の中の無意識・普遍的無意識の存在の確認(各キャラクタ−についても検証)
・必要に応じてフロイト的解釈も盛り込む。
(例:ポセイドン=父とみなし、海=母とみると、「海のトリトン」は父から母なる海を取り戻す物語。
オイディプス的な解釈。トリトンの成長を疎外する立場のポセイドン)
・オリハルコンはトリトンの男性的な力の象徴(?)剣=切断するもの。
・ラストで剣を失う=成長する力を失う???→大人になれない??
                               (この論が通るかどうか。)
・各キャラクターの分析。話の進行により変化する人格。特に前半と後半のトリトンの性格の違い
・企画書(各話基本設定)とのスト−リ−比較。
 (特に最終回の変化、それに至るプロセス。物語中盤の「トリトン王国」の設定。
それがなぜ表現されなかったか。(時間的制約以外の根拠)
もし表現するとすればどんな形で実現できるのか。
その設定があの27話の中にどう盛り込まれているか。(精神的な意味も含めて)
・物語中に登場する陸の人(?)の生活の舞台が物語の進行とは逆に、どんどんと時代的に逆行していく。
その意味。(意味なんかないのかな??)
 1話………(当時の)現代の日本の漁村
 8話………一昔前の漁撈採集時代の南洋の島々の暮らし。
 19話……19世紀末のような波止場の風景(映画「モビィ・ディック」の影響?)
 22話……西洋人が入植する前のような、呪術的な信仰を中心とする島民たち。
 27話……大昔のギリシャ時代のような暮らしをしていたような海底の都市の姿。
○構成○
 前半……1話〜15話        後半……16話〜27話
      1部………1〜3          5部……16〜19
      2部………4〜6          6部……20〜25
      3部………7〜12         7部……26〜27
      4部………13〜15
             *それぞれにサブタイトルをつけてもいい。
・参照にする構成の本…『幻のルパン帝国』(フィルムアート社)


■第一話「海が呼ぶ少年」■
 トリトンは大西洋からはるか離れた日本の漁村で「漁師」の一平じいさんに拾われ育てられる。
トリトン族の生き残り=死に損ない
(最終話でも死ねないのは永遠に生き残ることを義務づけられる??→短絡的なので、もっと熟慮すること。)
生き残る=勝利には違いないが(ポセイドンは滅びたのだから)それが果たして幸福であったかどうか。
→最終話以後の命題。
 漁師は無意識の象徴である海から必要なものを拾い上げる。
救済者、賢者のイメージ。赤ん坊のトリトンを危険のみちた海から救い上げ、意識化する。
ルカーが運んだが、ルカーにはトリトンを救う力はない。
命のみで、トリトン族を一人残らず殺してしまおうとする、強大な力を持ったポセイドン族と戦う知恵をつけたのは
一平じいさんである。
(ポセイドンの意味。父としてみるなら、子であるトリトンを亡きものにする=自分の優位を守る。母である海を守る。
自分のものにしておく。)
トリトンは一平という「漁師」によって、無意識の状態から、意識界である「陸」へとひきあげられ、そこで13年間すごす。
 一平じいさんはトリトンを意識化し、人間らしい情感のある人間として育てた。陸での「老賢者」である。
(笑い、亡き、怒る。そして知恵)
(なぜ母親では駄目なのか。もし母親に育てられていたら、どうなっていたか→原作との比較。母と息子の関係。
原作では陸と海を行ったり来たりしている。原作のトリトンの陸と海を繋ぐ役目の洋子が死んでからは
母との縁も切れている。洋子=女性であることの意味。対してTVのトリトンには、陸の特定の友達がいない。
常に孤独な感じがつきまとう。陸との繋がりが希薄である。)
岬からとびこむ。この時点の子どもっぽいトリトンの心理。村の子供たち。仲間。
(?)おそらく、だれもとびこんだことのない(このセリフから、トリトンも初めて飛び込むと推察)猪の首岬から飛び込むことによって、自らの優位性を示そうとする心理。オレはすごいんだ。自己顕示。その反面にコンプレックス。
とても子どもっぽく、幼い。疎外感。(いつも髪の毛のことでいじめられていた?。)破壊的行動。逸脱行動。
(岬の下の渦に何があるかわからないのに、飛び込む。大人でさえ近づかないところ→吾助の「わしらでさえよう泳がんところへ」
渦→もっと深くの海へ。無意識界への潜行。(渦の意味するところの象徴。解釈)
本人は半分遊びのつもり。「まだまだ潜れるぞ」自分の力の顕示。他人とちがう潜水能力の誇示。
だが、それはこの時点の無知で幼いトリトンにとって、即危険と死を意味する。
ルカーの登場。助けられるが意味の分からないトリトン。単に楽しく泳ぐことを邪魔したとしか、受け取らない。
オトヨばあさん。女性であるところの意義。トリトンをいじめる。排除しようとする。のけものにする。
髪の色が緑なのは異形のしるし。村八分。老婆の象徴するところの意味。
一方では「知恵者」村の「長老」である。保守的。しかし、オトヨばあさんの排除がトリトンを怒り、悲しませ、
それが海へとつながり、ルカーとの出会いをうながす。
老人との出会いは、物事の本質に触れるヒントや、これからの道を切り開くきっかけになる。
そして、白いイルカ、ルカーが迎えに来たとき少年期をむかえていた。
精神的に意識するには十分な年齢だ。だが、まだ半人前で、未熟だ。

トリトンの髪の色は緑。トリトン族の証拠。
白の象徴=無垢、純真さ、冷たさ。浄化。。
緑=植物の象徴。自然の象徴。繁殖。緑は暖色と寒色を結ぶ中間色。
マントの赤=勇気、血の色、人間らしい感情、情動、温かさ。
*トリトンは海へ出る時このマントを着る。→イルカ島など、落ち着き、くつろいだところでは時々脱ぐ。(例:眠る時。)
ぬいだり着たりする。→ペルソナとしてのトリトン族がマントに象徴されているように思う。 
 マントを着る→トリトン族として振舞う。役割としての意識。戦う。敵としてのポセイドン族との対決。
「男」としての意識。(ジェンダー的な物も含む)
 マントを脱ぐ→トリトン本来(隠れたもの)の性格にもどる。傷つきやすく繊細。子供らしい性格。
恐がり。臆病。(例:じっちゃんが吸血鬼になる悪夢におびえる。)
*色の象徴機能をもっと調べること。
オリハルコン=赤、 勇気、または争いの色。 
ドリテア=女性であることの意味。白い服、貝殻の帽子。沈没船。海の宝をあらわす?
サラマンドラ=火の竜。ドラゴン(竜)の一種。龍の象徴。水の力、ポセイドンの力をしめす。
火と水の対立。ドラゴンを倒す意味。怪物をやっつける。
西洋の英雄物語では、英雄が怪物(竜)を倒し、最後に姫(女性)を得て、結婚がテーマになる。竜は父なるものの象徴か?
この時点では「日本」なので、竜(サラマンドラ)はトリトンだけの英知ではたおせず、ルカーという使者に頼ることになる。まだ獲得する(姫)としてのピピはまだでてきていない。だから、サラマンドラが死ぬ時に、村の象徴である岬を破壊するにとどまる。
 しかし、自分の力でたおぜず、ルカーにくっついていただけ。指示などは出さない。無力なトリトンの象徴。
海で戦うにはまだ力のないトリトン
ラストの月、月は無意識界の象徴。月に照らされた海。
太陽の沈む海でなく、月の昇る海。トリトンの行く世界。闇の世界。
無意識へと旅立つトリトンにふさわしい。

 



■第2話■
 無意識からひろわれ、人間として意識していたトリトンはまた無意識である海(トリトン族へともどることになる。だがそれは人間の世界という意識の視点を持ったトリトンはなかなか海の生活に解け込みにくい。
 イルカの3兄弟の意味。3と言う数字の意味。
ほら貝の意味。貝殻の象徴。
メドンの象徴。大海亀。亀の象徴。
海での老賢者。何千年も生きている。
7つの渦。7つという数の意味。渦の象徴、渦=無意識に巻き込まれる危険性。それを乗り切ったトリトン。「勇気があるのさ」イルとカルはだめ。彼らの未成熟を表わす。
 父と母のメッセージ。法螺貝(巻貝)の意味。宇宙の誕生という壮大なイメージ。渇きをいやすイメージ。
トリトンの疑問。ルカーの回想。「人間に預けてくれ」トリトン族とは違う道をと望む親のねがい。せっぱつまった上での選択にしては非常に思慮深い配慮が込められているように思う。(というより製作者側の無意識な配慮??)彼らはトリトンに自分達と同じような道をあゆませたくないのだ。追いつめられ、殺されていくような末路をたどらせたくない。我が子は生き残らねばならない。その意味で「陸」に預けるという選択は賢明である。両親は海という無意識界に飲み込まれたのだ。海を支配するポセイドンに。両親はすでに殺されたとしかとれない記述。
(この時点ですでに父が死んでいる→トリトンの成長についてはマイナスポイント。目標となるべく、大人の男性モデルを欠く。)以後この傾向はずっと続く。
 トリトンの反発。トリトンの精神の未成熟を表わす。まだ受け入れられない。トリトンはこの時点では子供であり、また完全に「陸人」だ。じっちゃんのところへ帰るという。(トリトンは「トリトン族」になりきれていない。ペルソナとしてのトリトン族に反発。)エイのシトルモビックの襲撃。エイの象徴。
やっつけたトリトン。渦に引き込む。(渦は無意識の象徴。バラバラになるエイ。)勝利。トリトンは剣をまだつかえない。ただ、抜いただけ。ささりもしない。弾き飛ばされるだけ。ルカーの応援によってなんとか、きりぬける。(一人で戦えない。トリトンの力のなさ)
迷うトリトン。トリトンの揺れる心。まだ陸に帰れる。でも海に残りたい。自分のことをしりたい。「自分探しの神話」(ロロ・メイ著) 法螺貝を吹くトリトンのラスト。(その意味。ギリシャ神話でのトリトーンの神のモチーフ以外に探る。)
(日本では古来、修験者のもちもの→宗教的な力の権威。戦国時代の戦いの合図に使われた、 などの「日本」的な意味。何と云っても「海のトリトン」は「日本」で作られた「日本」のアニメだ。ギリシャ神話と日本神話の構造が似ていることからも、全くの「異世界」ものとはなりにくい。どこかで精神的な基盤を「日本」に求めているような気もする。)
 



■第3話「輝くオリハルコン」■ 
 大西洋に旅立とうとする。一足飛びに秘密を知ろうとするトリトン。クエストストーリーのパターン。筏を作る。筏はトリトンが育った人間の世界の道具の象徴である。海人であるトリトンが陸人の道具を使って航海しても、うまく行くはずがない。(海人としての自覚のないトリトン)トリトンは少しは成長し、自分のもっている「知識」で大西洋へと旅しようとする。しかし、彼にはまだ「知恵」がない。つれていったのは未成熟なフィン。かくして、嵐にあい、あっけなくトリトンは筏をすて、海の中へもぐる。知識の放棄。無意識界への潜行。そこにイカの怪物(ゲプラン)
イカの象徴。
渦をおこし、トリトンをさらっていく。渦=無意識に巻き込まれる。トリトンのみ、フィンは残される。トリトンのみさらわれたのは、トリトン自身が海になれていないため、と解釈できる。(この辺不完全なので、もっとしらべること。)ルカーがいない。イル、カルもいない。
 海の墓場。呼び名のとおり、墓場。船の残骸がある。石になった魚や海草。死の世界。時の流れが止まるところ。番人ドリテア。無意識界を支配するポセイドンの部下。(なぜ女性か。貝殻の帽子の意味。)
グレートマザーとしてのドリテア。海に出てきたトリトンを亡きものにしようとする。陸の知識 (光)を持ったトリトンを殺す→海という無意識の混沌に飲み込む。魔女的な存在。武器としてのムチ→石にする(一種の魔法→闇)
ムチをつかう。石にする=死ぬ=考えなくする。=楽になる。トリトンは陸の「知識」(光)で、剣(武器)として、オリハルコンを使う。
オリハルコンの剣。とっさにぬくので、トリトンは使いかたを熟知していたわけでない。「知恵」がかけているが「力」はある。形勢が逆転する。無意識界に点す松明、道案内のオリハルコンの光。謎そのものでありながら、謎を開く。でもまだトリトン一人ではまだ倒せない。メドンの応援。
 トリトンの思慮の足りなさにより、メドンが死ぬ。海での老賢者の死。トリトンの成長を一つ欠く。(また成長にはマイナスポイント)この時点ではまだ明確でないが、トリトンは指導者となるべき「師」を次々と失っている。(主に大人の男性)それが最終話でのトリトンの成長を阻む原因となっている。(仮説なので、さらに検証)
 すっかり傷ついたトリトンは陸に戻ろうとする。しかし、すでにトリトンの居場所は村にはない(と思い込む)。トリトンをうしなって、生き甲斐を無くしたかのような一平にはもうトリトンの心を癒す力はないのか?(一平の役割の終わり)「おれはもう村にも帰れない。トリトンにもなれない」の意味。立派なトリトン族の意味か。「立派な」とは、ポセイドンを倒してしまうような、対等に戦える強大な力を持った一人前のトリトン族の意味か。それとも、成人したトリトン族という意味か。案外意味深な言葉である。
 岬から飛び込む。1話のときとちがう。トリトン族の衣装をつけている。トリトン族として、海に戻ることを選んだトリトン。無意識の世界を旅することを選んだトリトン。1話では、追われるように村を去ったトリトンだが、3話ではみずから、生きるところとして、海をえらんだ。そのとき、北の海に仲間がいるかもしれないとのしらせ。希望をもって一度、北にむかう。
北の象徴。イルカルと離れる。ルカーと二人(?)の旅立ち。その意義。ルカーを協力者として、行動できるようになったトリトンの成長。



■第4話■「北海の果てに」
ピピの登場。人魚の彼女。子供だ。トリトン族か??
アザラシの象徴。プロテウス。(次々と変化するものの象徴)アザラシの神。
海の老人の意味。ピピを導く賢者。またトリトンをも導く。
ミノータス。
「赤ずきん」の狼のような少女を取って食べてしまう存在。だが、ピピはアザラシのプロテウスに守られて「入り江」にいるので、守られており、ミノータスに情報がもれていない。まだ危険はない。エレプス号という氷づけ人間の船という城。氷=かたく閉ざされていることの象徴。人間の英知に近づけない、ポセイドンの混沌の力。 だが、トリトンの訪問により、その均衡が破られる。 デモラーの象徴。北の海の怪物。恐竜(首長竜の一種)の意味。(アンドロメダを救うペルセウスのパターンとなるか?)
竜退治→乙女の獲得→成人となる。(?)
オリハルコンの剣。氷をとかす。(氷はピピの心か?)
あまりにも激しい熱のため、氷は一瞬に解けて蒸気になる。その意味。   
デモラーの死。衝撃をうけるトリトン。恐怖心の方が強いトリトン。泣く。
ピピはそのトリトンを余裕をもって見れない。「カッコ悪い」というだけ。価値基準がちがうのだ。人魚の象徴。未成熟な少女。対するトリトンも未熟である。
ピピの心はトリトンの心でもある。人魚は男性の隠されたアニマの象徴である。



■第5話■
蜃気楼の島。その意味。蜃気楼(幻)を相手にたたかおうとするトリトン。
まだ未熟なトリトンの心理を表わす。(本当か幻か見分けがつかないほど、トリトンにはことの本質がみえていない。彼の本当の敵は蜃気楼の島ではなく、また、ミノータスでもなく、大西洋のポセイドンなのだ。)
ピピのだましの心理。嫉妬。ねたみ。みんなの注目を奪うトリトンに憎しみ。仲間としてトリトンをみれない。かたくなな、少女の内面。「女王様」でいたい。お嬢様心理。繊細な内面を刺々しい言動や行動でガードしようとする。ピピはかたくなな、つぼみである。トリトンを男性として受け入れられない。(この点ファンになった女性の多くが当時、ピピの心理に近いことに気づいただろうか。ピピへの嫉妬・憎しみは、主人公トリトンへの思い入れの強さだけでなく、自分自身への嫌悪とも重なってくるように思う。肉体は生殖が可能になっても、まだ「大人になりきれない」気分の少女達がトリトンを自分たちの作品として、受け入れたのだ…と思う)
トリトンもまた、ピピをやさしくつつむような「大人」でない。未成熟さのぶつかりあい。彼は一緒に戦える同性の仲間を欲っしていたのだ。かよわい(?)女性をまもれるような余裕は彼にはない。
ユニコーンの意味。一角獣。
迷路の宮殿。迷路の意味。トリトンの心の迷い。
捕われたピピ。(守られていた「入り江」から出る→危険にさらされる。)
ラストでプロテウスの死。また「老賢人」の死。(飛び立つ白いフクロウの意味→氷付になることの意味)ピピの成長の妨げ。退行する。尊い犠牲というが、ピピにとってもトリトンにとってもまた導き手を失うことになる。そのため、2人は大西洋までずっとさまようことになるのである。



■第6話「行け、南の島」■ 
ポリペイモスの象徴。たくましい男性の肉体。それと頭部は鮫。残忍で攻撃的な性格を表わす。以後。15話まで、トリトンの宿敵となる。(この敵を倒すことにより、トリトンの男性的な成長となりうるか?)
 火を巡るトリトンとピピの反応の違い。育った環境や文化の差の違いだけでなく、心理的な奥底での反応。ピピの恐怖心→火が恐い→オリハルコンもこわい→訳のわからない剣がこわい。→ポセイドン族が恐怖するのとどこかで通じないだろうか?→それはトリトン族のタブーのようなものだろうか?
パンの実→陸人の島での食料。ピピは貝などを食べ、トリトンの食べるパンの実や椰子の実のジュースを気持ち悪いという。やはり陸のメンタリティのトリトン。海人としてのピピとの対立。
 アンコウの象徴。深海魚。音波による攻撃。ポセイドン族が肉体的でなく、精神的にダメージを与えるような攻撃パターンを示すことの現れ。心理的においつめるような暗いイメージ。まだ正体の現れないポセイドンの実像。
南のイルカ島に希望を託す。(南の意味、象徴を調べる)



■7話「南十字星のもとに」
ピピの心。失ったものへの憧景が大きくて、新しい生活になじめない。過度の過去へのこだわりは自滅を表わす。→渦にまかれる。
トリトン→腹の立つときは海を見ろ。→じっちゃんに教えられたことで精神の導きを得る。陸の英知を生かす現れ。
リューダーの意味。海蛇の意味。「竜」ともとれる。
渦を作る。
オリハルコンを直接使わず、投げつける。
竜退治の3回目にして、「乙女」の獲得。心理的にトリトンと言う存在を受け入れるピピ。そして、イルカ島の生活を受け入れる。ピピの心の変化。自分の今の状態の受け入れ。



■8話「消えた島の伝説」■ 
 プッチャのおじいさん。老賢者のイメージ。伝説を根拠にトリトンを追い払う。プッチャにとっては優しい、祖父(導くべき賢者)だが、よそ者トリトンに対して敵である。悪魔と呼ばれ困惑するトリトン。プッチャーの祖父に一平の面影を重ねるトリトンの心理。甘え。逃避。退行。「このままではオレがダメになってしまうような…」刺激を求めるトリトンの心。幼児的な段階。話の冒頭で、ピピとのケンカ。困難の末落ち着いたイルカ島だが、トリトンにとっては安らぎとならない。それはなぜか。トリトンが大人でないから?精神的に成熟していないから??本来なら、ポセイドンとの闘いに備えてエネルギーを充電、補給するところ。だが、そうならない。成長する力の欠如。
津波。無意識の海の象徴。圧倒的な力。全てを飲み込み無にする力。トリトンの力ではどうすることもできない。島がなくなることの意味。オリハルコンは抜かない。陸の道具である。槍を使ってポセイドンの手下の鮫をやっつけるトリトン。人間として、陸の人として育ったトリトンの力の行使。だから津波を防げない。まだトリトンには知識はあっても「知恵」がない。足りない。少ない。津波はポセイドン族のドリテアとポリペイモスの縄張り争いの結果生じた。ドリテアの感情的激昂による力。(そして、無意識界からの力。)(またもや女性!)トリトンの心に深い悲しみ。まだこの段階ではトリトンは泣ける。



■9話「幽霊船の謎」■
吸血鬼カミーラ。女性であるところの意味。(一種の魔女、グレートマザー)ポセイドンに操られていた。被害者としての彼女。しかし、トリトンには加害者である。二重性。また、老婆がカミーラの正体であることのさらなる二重性。若く美しいカミーラと死ぬに死ねない哀れな老婆の対比。理想の女性。怪物にちかい醜い老婆。(十字架の意味。墓の意味。船の意味。)その2人が同一人物であるところの意味。少年であるトリトンだから、勝てた。少女なら、その圧倒的な力に勝てない。少年は女性と対立する。異性。耳を塞ぐ。耳→原始的な本能に訴える力。視覚はマジックでだませる。姿のみではトリトンは動じない。冷静。しかし聴覚はごまかせない。カミーラの力に捕われるトリトン。身体の動けない 。支配されようとする寸前。トリトンの成長。心の成長。カミーラの二面性を哀れむ気持ち。ポセイドンへの嫌悪。憎悪。
炎の意味。浄化。変容。十字架に象徴されるキリスト教的なものへの昇華するプロセス。


■10話「めざめろ、ピピ!」■



■第11話「対決北太平洋」■ 
ドリテアの自滅。その意味。火山へ。浄化、変容。トリトンとドリテアの力の逆転。グレートマザーの死。そして変容。教え導くものへの変化。→トリトン族の秘密を少しばらす。ピピはトリトン族の娘。幼い時は人魚の姿をしている。オリハルコンの力のパワーアップ。→トリトンの力の成長。それまであまり剣を使っていない→力をためていたことの現れ?。



■12話「イルカ島大爆発」■
火山の意味。11話で火山でドリテアは自滅した。(グレートマザーの死)
12話でトリトン達の「家」というべきイルカ島の火山が噴火、爆発する。その意味。深層。ポセイドンの力の行使。(遠隔操作?)
初めて姿が顕になる、ポセイドン像。無気味な外見。恐ろしい容貌。鬼を思わせる顔、剣。(去勢する剣の象徴?→フロイト的解釈)仏像の不動明王との類似→日と水の力の融合。顔が般若の面に似ることからの類推))
 トリトンの惨敗。力のなさ。ドリテアとの闘いではまだ不十分。グレートマザーとの対決がすむとこんどは父(影としての敵)ポセイドンとの闘い。直接対決できない。イルカ島の守る家としての機能の低さ。→「家」といってもトリトンがじっちゃんに教わったやり方で建てた物→陸の知識で建てた物→意識の力で建てたものなので、影であるポセイドンの攻撃には弱い。)
みんなバラバラになる。その意味。意義。ラストのシ−ンの解釈。



■13話「巨獣バキューラの追撃」■
あれだけの爆発にも関わらず生き残るトリトン達。まだポセイドンの力が遠いことの現れ。
バキューラの意義。竜の形をしているが、中身はひたすら、食い、排泄するだけの原始的な動物。その意味するところ。
太陽に弱い。ポセイドンの弱点の一つ。オリハルコンと太陽の類似。海の太陽(設定書の記述)



■14話「大西洋に旅立つ」■


■15話「霧に泣く恐竜」■
共時性。シンクロニティ。恐竜の時間とトリトン達の時間の交錯。法螺貝で呼ぶ。法螺貝の音に引かれる恐竜。(ほら貝の意味。)
なぜ恐竜がほら貝の音にひかれるか。→そこにトリトンの変化。ピピを仲間として、認め、一緒にかばいながら旅をする→守りのできる大人に一歩近づく。
そして傷ついた癒し手としてのトリトン。12話のイルカ島の爆発で精神的にダメージを受けているトリトン。そのトリトンが吹くほら貝の音は一種癒しの力のある音楽となる。寂しい心の恐竜をなぐさめる。一人ぼっちの恐竜。たった2人のトリトン族である、トリトンとピピ。
 ポリペイモスの死の意味。
トリトンが直接手を下さないのに自滅する。(影にトリトンの成長。すでにポリペイモスはトリトンの相手でないことの現れ。トリトンの吹くほら貝の音に引かれた恐竜を殺す→そのためにポセイドンとの約束の期限に遅れる→トリトンの力に負ける)。ポリペイモスの死→たくましい、残忍な闘いに長けた戦士の死→それがトリトンに取り込まれる。→以後、戦士としてのトリトンの強調。


■16話「海人レハールの罠」■  
レハールのトリックスターとしての意味。魔術師の意味。
後半のトリトンの成長にかかせない。難題を出され、一つ一つ解決することで成長していくトリトン。(クエストストーリーの典型パターン)テンポが速くなる。ラストへの予感。トリトンの性格変わる。闘い中心の性格。成長。(その背景にルカーと離れた、ピピを守りながらいっしょに旅したことなどなど)
 ドクロ相手の闘い。「死」との闘い。ピピが毒にやられることの意味。ピピはまだ、未熟な心。迷い。プロテウスに甘えたい心理。トリトンに甘え、依存する心理への移行。(反発の裏返し)それゆえの心の隙をつかれる。ポセイドン族の精神的に陰湿な攻撃パターン。卑怯とか言う感情よりもその奥底にある意義を探りたい。
 冷静に対処しようとする、トリトンの成長。姿は13歳だが、すでに精神は「大人」である。 (ルカー達との再会。その意味。)じっちゃんの幻にごまかされないトリトン。
心の成長、ともとれるが、以後、じっちゃんに教わった陸人の英知よりも、ポセイドンとの闘いで獲得する、「戦士」としての力でポセイドンとわたりあっていくことを意味する。だが、戦士としてのみの成長はゆがんでおり、総合的な「大人」としての成長を欠く。最終話までの課題として残る。
 


■17話「消えたトリトンの遺跡」■ 
「遺跡」=「廃虚」。ものを産みだし、育てる力がない。トリトン族の住処のようであったらしいが「生命力」がない。トリトンの成長にマイナスポイント。
 ピピの無力さ。闘いにはトリトンやルカーたちのみ。
音波による攻撃。
 壁画の意味。老人(陸の学者)(一種の老賢人か?)のでてきて、いなくなる意味。



■18話「灼熱の巨人タロス」■ 
 青銅の巨人。ペンギン(鳥・飛べない事の意味)海峡。高い岩壁。
ピピがさらわれる。
ピピのいないところでのトリトンの活躍。(以後目立つパターン)



■19話「甦った白鯨」■
モビイ・ディックからの引用。映画「白鯨」との類似。夢での鯨は見え隠れするコンプレックスの発見。→ロレンスとギルティ親子がトリトンにとって、うらやましい存在。「俺の父さんもあんな強い男だったに違いないぞ」
 陸に打ち上げられるトリトン。(無意識から一時意識世界へ。)しかし、すでに海人としての行動パターン。誇り。義務。
ロレンスの言葉「君は不思議な少年だ。身体の中に海の匂いが染み込んでいる。」
トリトンの、「陸人」=視聴者からみた印象をロレンスの言葉が代表する。



■20話「海グモの牢獄」■
ヘプタポーダの意味するところ。女性。戦士。捕われの身。青い海と太陽を望むために牢獄へ。クモの意味。(蜘蛛は地母神の象徴)からめとる。精神の束縛。トリトンの潜入。積極的。ピピが捕われている。(16話のパターン)ここでもピピの無力さ。
トリトンの成長の節目にはポセイドン族の女性が登場する。成熟した女性のすがた。(対比して、トリトンの少年→男性への成長。外見は変わらないが、精神的に大人になっていく。→心理戦でヘプタポーダを苦境に追い込む。)
しかし、ヘプタポーダの心は少女。かないそうもない夢への捕われ。(影としてのトリトンの心の投影とすると、トリトンの中にある、海への甘い想いと憧れとを指す(?))それをトリトンは 「言葉」という武器(人間としての英知の現れ)で一刀両断する。半分ヘプタポーダを「だまし」ながら、戦うトリトンはすでに有能な戦士。しかし、影としてのポセイドンのやりかたもとりいれている。(卑怯な手段を使っている。)ポセイドンの力をも取り込んで行くことの現れ。オリハルコンの力の意味。クモを倒しただけ。剣の力の低下ではなく、敵の力の巨大化。トリトンの力が上がってるが故の敵の強大化→大西洋のポセイドンの追いつめられた姿。            (かなり焦った様子が伺える)



■21話「太平洋の魔海」■ 
海ユリの攻撃。すべて幻であることの意味。
ポセイドン族の戦法の変化。幻だけでなくその中に巧妙に交じる「現実」のゲルペス連隊。精神的幻影による攻撃がもうトリトンには通じない。トリトンはもうトリトン族という枠を超えてずっと大きな力を持つものに成長している。(オリハルコンの輝きが異常に強い)この回からオリハルコンと剣の名前を叫ぶ。→その意味。マジメに追求したい。ものの名前を表わす。口に出して言う→古来はタブーとされた。化物、神などの、名前を声にだして呼ぶ→化物が現れる、神が怒る→霊魂(コトダマ)の思想。→「トリトン」は日本人によって作られたアニメなので、そのような考えがもりこまれて自然だと思える)剣の名前を呼ぶことはその力を引き出し、強大なパワーを生むが、使うものの消耗が激しいので成長のエネルギーを欠く。) トリトンはタブーを破ったか??(剣を宝ものと考えていた。→古くからの日本の信仰にもにた考え)みだりによんではならない。)その意味。トリトンが成長できない、そして、ポセイドン族の滅びていった理由。トリトンの力が強大になり、収拾が着かなくなっていくことの暗示。)戦士としてのゆがんだ成長。→モデルになる大人の男性がいない。導くべき指導者がいない。ピピの無力さが目立つ。
ポセイドンのおそれ、あせり。(16話よりずっと続く傾向)
「墓」を作る意味。
トリトンが泣く。静かに泣くことの意味。声に出さない泣きの意味。成長。大人としての泣き方。または戦士としての泣き方。まだなけるだけまし。
ヘプタポーダの死。夢の死。最終回への暗示。トリトンの中の夢の死。
レハールの失明。(盲目になることに意味→力を失う)
魔法使いからただの怪人へ。



22話「怪奇アーモンの呪い」
 老婆。儀式を執り行なう。一話のオトヨさんとの比較。トリトンを生けにえにしようとする。またそれを実行してしまった。第一話でのオトヨも村に禍いがおきれば、トリトンを犠牲(いけにえ)にするつもりだったのだろうか。
剣はトリトンでなければ輝かないというパターン。イソギンチャクという無脊椎動物の象徴するもの。(混沌?)
また、渦。(無意識)巻き込まれそうになるトリトン。 脱出する。島そのものが消滅する。人々も消える。
ピピの出てこない意味。たたかう力のないことの現れ?(まっとうに考えればピピの活躍や成長を描くほど時間的余裕がなかったことにもよる)



23話「化石の森の闘い」■ 
ブルーダ。セイノス(ムカデの意味)
ポセイドン族の怪物には無脊椎動物が多い→混沌の現れ。
前半には竜などのタイプが多かった。
ラカン。(心理学者ラカンとは関係ない?)
これも死ぬ。またもや老賢人の死。秘密を知るものは皆死ぬ。導き手のいなくなったトリトン。ヒントはある。トリトン族は手が使えなかった(使わなかった)との暗示。剣=トリトン族=ポセイドン族の脅威と言う図式が浮かび上がる。
ゲシュタルト心理学。図と地の逆転。ポセイドンが恐れていた。今までは圧倒的にトリトンがおびやかされる側。今ではトリトンの力にポセイドンがおびえている。逆転の図式。



24話「突撃ゴンドワナ」
ガダルの意味。無脊椎動物。原始的な食肉行動のみの怪物。→ポセイドン側の混乱と混沌をあらわす。精神病にもにた、病的な精神状態→追いつめられていることの現れ。迷路の中にあるのが象徴的。ヒトデの意味。
法螺貝の音の意味。ピピが吹く。おびき寄せるための手段→武器として使用。
トリトンの成長。と同時にピピの成長。いままで一方的に守られるだけだったピピの積極的な闘いへの介入。
迷路の意味。最後にくぐりぬけて、現れる→また成長する一つの段階。


25話「ゴルセノスの砂地獄」
ゴルセノス。兜ガニの意味。目をやられることの意味。秘密を見るなの暗示?
オリハルコンの光で自分の目がみえなくなる→最終回への暗示。オリハルコンのために見えなくなる?真実が??ほどなく回復する→トリトンの力が強いことの現れ。
 砂の洞窟の意味(胎内、子宮の意味?)ピピは闘いにあまり役にたたない。
ゴルセノスの殺し方の残忍さ→ポリペイモスに代表される、残酷なポセイドン(影)の力の取り込み。トリトンの力の強大さ。
戦士としての成長→どこか一面を欠く。
ラストシーンの意味。
(十全なる男性の意味)(4つのタイプ。王者、賢者、戦士、愛する男)



26話「ポセイドンの魔海」
ポセイドン族の秘密。
冒頭に「渦」の海。巻き込まれ、流されるトリトンたち。
サルガッソー海がモデルとおもわれる、海草のからまる海。
混沌の象徴。
サソリの意味。ウミユリのような吸血の花の意味。
過去に戦った怪人たちの人間のときのすがた。抜け殻。
火の意味。ピピが使うことの意味。ピピの成長を暗示。ピピがトリトンと同じような陸人の「知恵」を身に付け、トリトンと同じ道を歩むことの象徴。(だが明記されていないので、完全なものといえない→トリトンの成長にマイナスポイント。)船の上での闘い。(海の上)意識の世界?



27話「大西洋〜日はまた昇る〜」
大西洋の深海での闘い。意識の奥深く、深層心理(無意識界)を表わす。
ラスト近く「ちがう!みんなポセイドンが悪いんだ!」のセリフの意味。トリトンはわめくが、それはペルソナとしてのトリトン族の役割をかぶってきたトリトンのなにもかも剥ぎとった剥き出しの心の現れともいえる。もうペルソナをかぶる必要はない。トリトンという一人の人間にもどるべき時である。
しかし、それはこの物語では描かれていない。各人がそれぞれ想い描いていけばいい。
ラストの火山の爆発。すべての破壊。すべての浄化。罪さえも浄化(?)
生き残るトリトンの意味。意識の世界の象徴である「太陽」のぼる海へ。
 トリトンの姿は少年のままである。しかし、たしかに精神的に成長した様子をみる。オリハルコンの放棄。剣のないトリトンの姿の強調。
旅だっていくトリトン。無意識の世界から、明るい意識の世界へ。

 


*結論*
物語に偶然はない。全て必然である。
 製作スタッフは明確な意図(たとえば、中学生ぐらいにうけようとか、トリトンを人間らしく描こうとか、詳しい心理描写をしてやろうとか)を持ってこの物語をつくったのではないという。だがその中に込められているものは驚くほど、示唆にとみ、暗示に満ち、また「元型」にかなっている。無意識に「物語」をつくろうとするエネルギーが作品の中のパワーを引き出したように思えてならない。
 「海のトリトン」という作品が多くの人を魅了し、語り継がれていく。
その各人の心の中に生きるトリトンは、それぞれに変化したキャラクターである。それは「海のトリトン」という物語が少々の枝葉の変化を許容する、「昔話」や「神話」に近い構成、人物の動きをもっているからである。
 改めて「海のトリトン」を作ってくださったスタッフに感謝します。


                            
          (こんなこじつけ、だれがみる!)