■ポリフェモス■

   ポセイドンとの息子で一つ目の巨人、キュクロプス人の一人。キュクロプソス島(キプロス)に住む。ポリュペモスとも。


  『オデュッセイア』ではトロイア戦争の英雄オデュッセウスが、キュクロプス島に上陸したとき、この大男に洞窟にとじこめられ、次々と仲間を食われてしまった。オデュッセウスは彼を酒に酔わせ、一つしかない目をつぶして盲目にして、彼の飼っている羊の腹に隠れて、洞窟を脱出する。その時巨人が「お前はだれだ」と質問し、オデュッセウスは「ウーテース(誰でもない)」と答え、巨人の仲間のキュクロプスたちがやって来たとき、「俺はウーテース(誰でもない)に目をやられた」と騒ぎ、誰もまともに取り合ってくれなかった。
 ここでもオデュッセウスの「智恵」(ここでは悪智恵)が効果的に演出されている。
 そのため、オデュッセウスは巨人の父のポセイドンからにらまれ、故郷に帰れずに10年も彷徨うのである。
 ちなみに、ポリュフェモスが恋したガラテアはネレイデスの一人で、アンフィトリテとは姉妹である。(オデュッセウスとトリトンとの類似は「オデュッセウス」の項目を参照)

このエピソードをもとにしたサテュロス劇(喜劇)が、「キュクロプス」で、作者はエウリピデス。
オデュッセウスの「悪知恵」に翻弄される一つ目の巨人をおもしろおかしく描いている。
 
 『海のトリトン』の世界では、名前のみポリペイモスに類似。姿形はまったくちがう。
原作にはないオリジナルのキャラクター。TV版は羽根章悦氏のオリジナルデザインで、氏のお気に入り。上半身は鮫、下半身は人間の男の合成人間のようである。性格は残忍でずるがしこい。ポリネシアの神話に似たようなデザインの海の精が登場する。

 トリトンと14話で直接対決する。だが、素早いトリトンの動きに翻弄され、結局負けてしまう。
15話で期限までにトリトンを捜し出せなかったので、マーカス暗殺隊の毒矢で暗殺された。

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