■手塚治虫■
 上は自分のお絵描き掲示板で描いた「ブラックジャック」。
コンビニで廉価版のBJのシリーズが売り出され、その広告のカットからです。
改めて手塚先生の絵の完成度の高さと構図の隙のなさに圧倒されました。
 自分はものすごくBJが大好きで、少年チャンピオンに連載当時かなり立ち読みし、コミックスも何巻か購入し、繰り返し何度も何度も読みました。また親戚に医者がいたこともあって、生物関係が好きだった自分はわりと解剖の絵なども平気で見ることができました。その親戚によると、手術の場面は非常に正確だったそうです。
 しかし中学生当時は手塚先生の話は好きでも絵柄はいまいち不満で、また自分に画力が足りなかったことと、TV版のトリトンの絵に影響されていたので、似せて描くのはとても困難でした。しかし月日がすぎて歳を重ね、経験も少しつみ、今なら描くのも楽に出来るかと、軽い気持ちで描き始めたらば・・・・・・!似ない、似ない!! 描けば描くほどBJ先生からかけ離れていき、結局自己流になりました。
  改めて手塚先生の偉大さを思い知った次第です。

 「BJ」は医学を扱っていますが、難しい医療倫理とか生命の尊厳というようなことよりも、ブラックジャックと名乗る謎の無免許医の患者との関わりや彼の病を治そうとする真摯な姿勢を描き、そこからおこる人間ドラマを見せることによって、改めて「命とは何か」「生きるとはどういうことか」ということを考えさせてくれます。
 医学博士の手塚先生らしく、珍しい病気や特殊な奇形なども出てきますが、そのような博物学的な興味よりも、それにどう立ち向かうかということを一番問うているように思います。
 ともすればややこしい医学用語や特殊な病気が頭に残りがちですが、手塚先生が言いたいのは「こんな病気がある」ということでなく、「こんな病気を前にして、医師と患者がどう向き合ったか」ということを語っているのだと思います。こんな質の高い作品を毎週読み切り連載で、それも32ページで収める力量はやはり「神業」というしかありません。またそれにリアルタイムで居合わせた自分はやはり幸せだったということでしょうか。
 また手塚先生はスターシステムによってTV版のトリトンもBJに登場させています。有名な「ハローCQ」の中の若社長のトーマス・モリソン役で出演させてくれました。また、「シャチの詩(うた)」という話では、「トリトン」と名づけたシャチを登場させ、作品の中で死なせています。掲載当時、凶暴なシャチを題材にした「オルカ」という映画がヒットしていたので、わざと違う名にしたのでしょうが、シャチに「トリトン」という命名がなんだかイミシンで、死んでゆくところもなんだかTV版トリトンへの複雑な思いをみるような感じでした。
 
 下はトーマス・モリソンを自己流にカラーに描いたモノです。ちあきさんのサイトで描かせてもらいました。
 私は幼少の頃、初期の虫プロのアニメを見て育ちました。
ですから、手塚治虫先生には特別の思い入れがあり、その作品にも「特別」な思いがあります。


 特に思い出深いのは「ジャングル大帝」と「リボンの騎士」です。
ジャングル大帝の主題歌でジャズ出身の弘田三枝子さんが唄う「すすめレオ」が好きでした。(♪風切る銀の矢/流れるたてがみ/嵐を貫く/白い獅子レオ)またオープニングの壮大な曲も好きで、後に高校生になったとき「子どものための交響詩/ジャングル大帝」を購入しました。ジャケットが絵本のようになっていて、手塚治虫先生描きおろしでした。交響曲の楽器を紹介していくという形式でつくられ、「これは、アフリカのジャングルのお話です」という芥川比呂志さんのナレーションのあとに、ドォーーーーー・・・(クレッシェンド)、ジャッ、ジャッジャジャヤーーーーーン、ターララ、ラッタラララーーーッ、そしてトランペットやホルンのメインテーマと広がる音はもうココだけで感涙モノです。コレは幼いときに聴いたものだけがもつ「刷り込み現象」で、はっきりいってある特定の世代だけの「特権」だと思います。(すんません、もうはっきり書いてしまいます)この時代に巡り会って良かったとつくづく思います。レコードはもう聞けませんが、コレは宝物です。富田勲さんの重厚な音楽がじいんときます。最近になってこの音楽を元にアニメ映像を制作したLDが出ていたと知り、またDVDもリリースされているそうで、一度見てみたいモノだと思います。(CDがほしいです)
 あらためて、アニメ作品の「音楽」の効果というものを思い知りました。「トリトン」が多くの人に印象深いのもやっぱり音楽の要素が大きい気がします。
 この富田さんの音楽による「すり込み」のせいか、NHKアーカイブスの特集でNHKの昔の番組「新日本史探訪」のメインテーマをきいたときに、涙がぶわーーとでてしまいました。番組の内容はあまり覚えていないのですが、(でも自分の民俗学的興味の嗜好はコレが影響あるかも)、曲を聴いたとき番組が放映されていた頃の自分と自分の生活環境を一気に思い出しました。西洋的な技法を使っているのに不思議と日本調の曲が彼の持ち味なのかもしれません。後に彼はシンセ音楽で有名になりましたが、古典的なアナログ系の曲の方が自分は好きです。
でもココにジャングル大帝の絵がないのは自分は動物が苦手なためです(^^);;
後に「新・ジャングル大帝」と再アニメ化されましたが、自分的には乗れませんでした。絵はとっても綺麗でしたが。
 また「リボンの騎士」は放映当時なかよし版の本を買ってくれたので、そればっかり繰り返し読んでました。これもTVと漫画のイメージがごちゃごちゃになっていて、海賊ブラッドのイメージが漫画版で記憶に残っていましたが後にTV版を確認するとずいぶん違うキャラでした。そういえば音楽は富田勲さんでした。
サファイヤがさっそうと戦う姿に憧れました。よく考えればレオとサファイヤの声は同じ太田淑子さんです。
下の絵は、以前レンタルしてたお絵描き掲示板で描いたモノ。漫画版の絵よりかなり楽でした。ヘケートはすっかり自己流なのであまり当てにしないで下さい(^^)  
    
下はパイロットフィルムのトリトンとピピ。とってもキュートでかわいいです。リボンの騎士のスタッフの方が描いているそうです。このトリトンがブラウン管に現れていたら、今の自分はいなかったでしょう。 深雪さんのサイトで描かせてもらいました。 本来なら「手塚治虫氏の作品」として自分のカテゴリーに入るはずであった「海のトリトン」ですが、監督が富野さん、作画監督が羽根章悦さんと、手塚さんとは傾向の違う人たちの作品なので、TV版の「海のトリトン」はここから除外しています。(こだわり) パイロットフィルムについての詳細は「COMICS」の原作紹介のページをご覧下さい。   
下は「海のトリトン」の原作の漫画の一カットより。愛し合う人魚(トリトン族)の恋人たち。素敵なカットが多かったです。    
コレは「アトムキャット」。かわいかったです。
あ、えーと自分は旧作のアトムはリアルタイムでみていたはずですが、幼すぎて印象に残らず、「アトム世代」ではありません。(断言)後にNHKの対談番組で漫画家の里中満智子さんが「アトムは自分にとって初恋」というようなことをおっしゃっていて、失礼ながら年齢を数えてみると丁度思春期の頃に出会っておられます。
そういうものでしょうか。