●原作トリトンの世界
●資料●講談社版「海のトリトン」
(手塚治虫全集
             

    
左上から、第1巻、第2巻、
左下より第3巻
第4巻の表紙

各巻の初版発行日は以下の通り。

第1巻 ’79年10/20
第2巻 ’79年11/20
第3巻 ’79年12/20
第4巻  ’80年1/25

●講談社から発行された、手塚治虫全集の中のシリーズ。
 各巻のはじめに英文で説明がついている。

 秋田書店サンデーコミックス版の割愛、変更などへの意見を配慮してか、内容は新聞連載時とほぼ 同じとなっている。

 「ほぼ」というのは、新聞発表当時との時代感覚の変化等により、セリフや表現に若干の訂正、 変更がみられるからである。
 手塚氏はこの作品に限らず、よくセリフの変更とかをされるので、これ自体は特別なことではない。

 表紙の絵が、秋田書店サンデーコミックス版とは微妙にちがい、少し少女っぽいトリトンの顔と 青い髪に注目したい。

 また、4巻の手塚氏のあとがきに、「鉄腕アトム」の後の連載だったこと、キャラクターが動き出し、 SF伝奇ものになったこと、初めは手塚プロで作る予定だったこと、パイロットフィルムは外国に売ることを考えてあのデザインにしたこと、TV版のトリトンは西崎プロデューサーが東映の羽根氏を起用して、作ったことなどが書かれている。

 ここでも手塚氏はTV版には自分は参加していない、と答えるだけでTV版への具体的な内容への コメントがないのが非常に残念である。
 裏には大変複雑な感情があったように思われるが、それを指摘せず、自分なりの作品を描くところが さすがプロである。
 手塚氏はやはり「紳士」であったと言わねばならない。

 でも亡くなられた今となっては、悪口でもいいからTV版への見解を聞きたかったものだと思っている。