●原作「トリトン」の世界●

その4●キャラクターについて
キャラクターもTV版トリトンとは印象がちがいます。
茶色の文字は、TVには出てこないキャラクター。
青い文字は名前を変えて出てきたキャラクター。
●トリトン
 物語の主人公。トリトン族の生き残りで、金色のイルカ、ルカーによって運ばれ、人間の少年和也に拾われ、その家族として育った。青い髪らしい。ある時期が来ると一度に成長し、物語の中でも2〜3度成長している。13歳と言うことになっているが、雰囲気からして高校生ぐらいにみえる。後半同じ一族の人魚のピピ子と結婚し、7人の子どもの父親となる。
 ナイフ投げの名人。陸で育った知恵を生かし、策略をめぐらし、ポセイドン王の33人の子どもを全滅させる。
TVのトリトンよりははじめから精神的にずっと大人。
●ピピ子
トリトン族の生き残りのひとり。
北の海にいた。トリトンとはごく幼いときに出会い、何度か変態を繰り返し、大人の美しい人魚になる。
幼いときからおませで、トリトンの奥さんになることを自分できめており、陸の友達の洋子に嫉妬したりする。
わがままだが、とてもかわいらしい、女の典型のようなタイプ。
TVのピピとは違う人格と見た方がよい。TVのピピは「エンゼルの丘」をモデルにしている。
●和也
最初は15歳ぐらい。赤ん坊のトリトンを岬の下におりていって拾う。同時に襲ってきた津波で父を失い、海を恨む。血の気の多い性格。トリトンを実の弟としてかわいがる。上京後、先輩の世話で就職するが、だまされていることを知り、先輩を刺してしまう過激な部分もある。ポセイドンの捕虜になり、視力と話す力を奪われる。いったん姿をけすが、後にたくましい男性になりトリトンと再会し、視力と話す力を取り戻し、最後はトリトンの息子ブルーを海に見送り、物語をしめくくる。
TVには登場しないが、その兄貴的で保護者的な性格はTV版の一平じいさんに受け継がれている。パイロットフィルムでは登場しなかったが絵コンテの段階で「海の男」「海賊」的なキャラでトリトンをサポートする役柄だったようだ。
●六蔵
武骨丸の船員。事件を起こし、行き場のない和也を助け、武骨丸でボーイとして働くようにさそう。和也とともにポセイドンの秘密を探ろうとしてつかまり。捕虜になる。
●和也の母
トリトンの育ての親。よく考えればこの人は名前がなく「矢崎夫人」とだけある。トリトンを実の息子のように育てる。和也が行方不明になってからはトリトンを頼りにする。
●和也の父
頑固で飲んだくれだが、根はやさしい漁師。だが、トリトンを拾ったその日に村を襲った津波で絶命。物語の初めしか出てこない。
●オトヨばあさん
和也の父の母。つまりトリトンにとっては義理の祖母ということになる。原作の物語中では「本家のばあちゃん」とよばれている。トリトンのせいで息子が死んだとして、彼を忌み嫌い、成長して村に 戻っても、なお嫌う。その少女時代には秘められた海人との悲恋物語があった。TV版でもオトヨばあさんとして登場し、1話でトリトンをしっかりいじめた。少女時代は謎。
●丹下老人
トリトンの陸での泳ぎの先生。日本古来の泳法に通じ、海で戦うための心構えをトリトンにおしえる。頑固で口は悪いが根はやさしい、昔風の男。トリトンが中学生の時、心臓発作で死去。TV版の一平じいさんのルーツの一人。
●沖洋子
トリトンの陸での友達。沖財閥の娘。心臓が弱く医者にスポーツを止められているが、父親への反抗心から、トリトンに泳ぎをならいたい、といって近づく。陸でのトリトンの理解者。自分の父がポセイドンと取引していることを知り、トリトンに伝える。トリトンとともに村に行ったとき、ポセイドン族のドロテアに毒の海に投げ込まれ、発作を起こして死ぬ。
●沖洋子の父
沖商事の社長。ポセイドン族にあやつられ、ポセイドンの要塞(海底基地)を建設するための資材の提供をする。娘の洋子を溺愛しているが、うまく愛情が伝わらない。 トリトンを不良学生と決めつけ、娘によくない考えをふきこむとして嫌っている。
●ルカー
金色のイルカ。トリトンの乳母。幼いトリトンを岬の下に運んだ。トリトンが呼ぶと海からどこからともなく現れ、トリトンをサポートする。ポセイドンとの戦いでトリトンを助け、活躍する。 トリトンの死後、ブルーをサポートする。TV版では「白いイルカ」となっているが原作では「金色のイルカ」と「白いイルカ」の両方の表現が見られる。TVのような額のV字マークがない。TVの役所とほとんど同じだがTV版よりはトリトンに距離を置いているようなところがある。
●イル・カル・フィン
トリトンに付いて一緒に冒険するイルカ三兄弟。イルはしっかりもの。カルはおっちょこちょい、フィンは「フニャ〜」としか言わない怠け者。フィンはホラ貝をもっていない。というより原作版ではホラ貝は重要なアイテムとして登場しない。一時的なものである。TV版ではフィンは「子ども」として表現されている。
●ポセイドン
ポセイドン族の王。一番TVとちがうキャラクター。残忍な性格で、自分に意見し、逆らったトリトン族を追いつめ、皆殺しにする。代々不死身で、手強い。急所は角の付け根。TV版のブル−ダがそのデザインを拝借している。ポセイドンの言葉は特殊で少数の者しか理解できない。滑稽な部分も多い。TV版では不動明王に似た神像として表現された。
●ガノモス
小島のような大きな海亀。トリトンに様々な知恵を貸す。また、憎しみに固まったトリトンに戦うだけが方法でなく、敵と仲良くせよと諭す。最後はトリトンとともにポセイドンの要塞につっこむ。
また、行き場のないトリトン族のために、自分の体を隠れ家として提供し、トリトン族を守る。TV版のメドンにあたる。
●ドデカポーダ
トリトンと最初に戦うポセイドン族。鋭い触覚を持ち、大入道の姿をしている。トリトンの連続ナイフ投げに破れる。自分を倒しても父王のポセイドンはもっと強いぞ、とトリトンに忠告する。
●リューダ
大ウミヘビ。竜巻をおこして、移動する。原作ではトリトンと戦っていない。
●オクトポーダ
北の海にいる大ダコ。ポセイドンの12番目の子ども。毒のスミを吐く。トリトンがナイフで切り裂くと、胴体から羽根をはやして飛んでいってしまった。パイロットフィルムに登場。
●ドリッペ
ポセイドンの息子。少し頭が弱い。硬いヨロイで身を固め、トリトンを押しつぶそうとする。最後は水圧の差を利用したトリトンの戦法にやぶれる。死ぬ前に大海亀のガノモスを紹介する。 TV版のミノータスのデザインのルーツ。よく似た怪人がパイロットフィルムにも登場した。
●レハール
ポセイドンの司令官。狡猾で保守的なイメージ。ポセイドンの要塞に進入してきたトリトンのためうっかり罠に入り、死ぬ。TV版のレハールはマントヒヒにデザインの似た怪人。名前だけもらったような印象がある。
●ミイラス将軍
ポセイドンの知恵袋。こちらのデザインの方がなんとなくTV版のレハールに似ている。トリトンの娘が死んだとの偽の新聞記事を見せ、トリトンをだまし、陸人に恨みを抱かせる。陸の人間にトリトンが洪水を起こした犯人と吹き込み、陸人に殺させるようにし向ける。全身硬い鎧に覆われ、戦いでトリトンを悩ませる。正体はタツノオトシゴ。
●ターリン
ポセイドンの殺し屋。トリトンの両親を殺した。トリトンを狙うが、トリトンの知恵と強さになかなか勝てない。けがをすると皮をぬぎ、新しい身体になる。陸で沖財閥の運転手として忍び込み、情報収集をする。だが洋子に恋をし、 心臓の薬をわたして彼女の危機を救う。
最後にポセイドンの要塞でトリトンと決闘し、皮を脱いだところをつぶされて死ぬ。
●ヘプタポーダ
ポセイドンの娘。陸で沖財閥と取り引きしにきた所をトリトンに襲われる。だがトリトンに命乞いして、救われ、戦いあうことに疑問を持つ。しかしトリトン の心の優しさにふれて惹かれ、ポセイドンの命令に背き、トリトンを殺せず、自殺する。原作のヘプタポーダは帽子を最後まで脱がない。もしかしてドロテアのように変わったデザインのアイデアが隠されていたのではと惜しい気がする。TV版ではもっと大人の印象でトリトンに味方をしたために命を落とした悲劇のポセイドン族として描かれている。
●イボリロ
ポセイドンの息子。ヘプタポーダとトリトンの義理の兄和也との取引の場に現れ、トリトンをだまし討ちして殺そうとする。サメに変身してトリトンを襲うが、逆にやられてしまう。
●ドロテア
ポセイドンの末娘。ポセイドンの一番のお気に入り。残忍な性格。
普段は男装し武骨丸の船長として要塞への資材と人間の奴隷をはこぶ。
奸計をめぐらせ、村に戻ったトリトンが化け物だと村人に言いふらし、育ての母にトリトンを殺させるようにし向ける。その途中、洋子に手をかけ、海の住人は陸人に手を出さない、という掟をやぶる。最後は洋子に恋をしたターリンに傷つけられ、海の中で爆死する。正体はイカのようだ。TV版ではギリシャ神話のメドゥーサをヒントに、羽根氏独特の「海の魔女」的な描かれ方をしていた。
●ゴーブ
ポセイドンの最後の子ども。ピピ子の姿に化けた海綿との子どもでウミワタの化け物。 何でもがつがつ食べ、すぐにくさい廃液にしてしまう。その廃液は何でも溶かしてしまう猛毒。
TV版の「バキューラ」のヒントの海獣。
●酒柱氏
水産庁の役人。人魚を養殖して増やそうとする。手塚キャラのスター、アセチレンランプ氏熱演。
●ブルー
トリトンの長男。トリトンに一番似ている。
トリトンが死んだ後、トリトンの後を継ぎ、海の平和を守る。
トリトンに負けず、頭がいい。TV版トリトンのデザインに似ている。
●その他のトリトンの子どもたち
●グリーン

トリトンの娘。おませな性格。陸の人間にさらわれ、見せ物にされてしまう。
●イエロー

トリトンの娘。おてんば。
●オレンジ
トリトンの娘。甘えん坊でだだっこ。
●レッド
トリトンの次男。かんしゃくもちでけんかっぱやい性格。
●バイオレット
トリトンの娘。せかせかして落ち着きがない。
●ダークブルー
トリトンの娘。怠け者でルーズな性格。