●原作「トリトン」の世界●
その2:タイトルについて

 
もともと原作マンガは「青いトリトン」といいました

連載はサンケイ新聞紙上で、一日一ページ掲載の形をとっていました。
 連載期間は1969年(昭和44年)9月1日〜1971年(昭和46年)12月31日です。
(秋田書店版豪華愛蔵版による)
 改題されたのは最初の単行本が発行されたときです。確か昭和47年(1972年)12月頃です。
サンデーコミックスの1巻を見ると「昭和47年12月25日発行」とあります.

 原作のコミックス発売以前の放映当時、「テレビマガジン」や「楽しい幼稚園」に手塚治虫氏の描いたかわいらしい絵柄のトリトンのマンガが連載され、そのタイトルはTVに準拠して「海のトリトン」となっております。   
 こちらは手塚治虫氏の直筆によるものです。

 また最初の数話の放映時に朝日新聞に掲載された4コママンガのタイトルも、「海のトリトン」となっています。 この作品は手塚スタイルのトリトンとTV版のトリトンの微妙にミックスされた絵柄で「疑似手塚トリトン」とも言える
珍しいものです。作者はおそらく虫プロ出身の池原しげと(成利)さんのものと思われます。
 彼はTVのトリトンの作品にも絵コンテで参加しています。放映当時発売のソノシートなどにこの疑似手塚調トリトンが描かれており、もしかして、TV版決定前のキャラクターだったのか、とも思われます。
 このような関連商品、および原作マンガは、おそらく読者(視聴者=主に幼児対象)の混乱を避けるため、TVと同じタイトルにしたと思われます。
 でもそれが逆にいっそうの混乱を招いているようにも思えます。
なぜなら、TV版と内容や絵が違うからです。

 また、ここのHPでも紹介した「基本設定」はTV版のものですが、それに先行して虫プロで制作された、「企画書」というものがあり、その方のタイトルは「青いトリトン」となっており、それに基いて制作されたパイロットフィルムのタイトルも「青いトリトン」となっています。
パイロットフィルムの制作は1971年の秋頃だということですから、この時点ではタイトルは「青いトリトン」だったと言うことが推測できます。
 パイロットフィルムは現在劇場版総集編のDVDに収録されており、パイオニアより市販されています。詳しい内容に関してに手塚治虫オフィシャルサイトで知ることができます。
URL→http://ja-f.tezuka.co.jp/anime/sakuhin/pi/pi008.html)

 でも私自身は「トリトンに片思い」でも書きましたように、新聞連載時を知っており、手塚さんのトリトン=「青いトリトン」という印象が強いです。 厳密にはTV版は「海のトリトン」、原作は「青いトリトン」とするのが正確だと思います。
 ここでは混乱をさけるため、TV版の方は「TV版トリトン」、原作の方は「原作トリトン」、と書き、厳密に区別します。
 
また、原作トリトンを手塚トリトン、TV版のトリトンを富野トリトン、という書き方も見たことがあります。
 演出によって作品がちがってくる、といういい例だと思います。